2023-01-01から1年間の記事一覧

女の小箱より 「夫が見た」

女の小箱より「夫が見た」 [DVD] 若尾文子 Amazon 久しぶりに観た増村保造監督作品。増村作品、どきついなとかやりすぎだなとか思うこともあったが、これは一気に惹き込まれた。話は今どきないような欲望に忠実な話だが、構図も凝ってて美しく、堪能。株の買…

処女の泉、鮮血の美学

ベルイマンの「処女の泉」(60)とそれに影響されたというウェス・クレイブンの「鮮血の美学」(72)を鑑賞。 まずはベルイマン。 処女の泉 【2K修復版】 DVD [DVD] マックス・フォン・シドー Amazon 観ていてサラ・ムーンの「赤ずきん」*1の物語を観たときの…

インファナル・アフェア 3部作

まず 第一作目 インファナル・アフェア 無間道(字幕版) アンディ・ラウ Amazon はじめ説明的なシーンがえらくコンパクトにまとめられスコセッシによるリメイク作「ディパーテッド」*1で筋を知っている(警察側とマフィア側それぞれのスパイ工作員)からす…

望郷

フランスのクラシック映画、勝手に敷居を高くしていたのだけど見始めたら見づらいってこともない、なんかいいなと思い始めている。 本日は「望郷」を。 望郷(字幕版) ジャン・ギャバン Amazon 有名すぎて避けて通ってきたが、デュヴィヴィエ監督の「旅路の…

旅路の果て

旅路の果て ジュリアン・デュヴィヴィエ Blu-ray ヴィクトル・フランサン Amazon 前から名前だけはきいていたが。。とても堪能した。 役者ばかりの老人ホームのはなし、まさに倉本聡のドラマ「やすらぎの郷」のオリジナルといっていいのではないだろうか? …

人斬り

人斬り Blu-ray 勝新太郎 Amazon この映画での勝新太郎演じる人斬り以蔵は、他でみるような怜悧な感じでなく犬っころのよう。仲代演じる武市半平太につき従い、挙句にあたかも太宰治が「駆け込み訴え」で描いた愛憎劇のような境地に。 時々勝新太郎について…

時代劇が前衛だった

時代劇が前衛だった-牧野省三、衣笠貞之助、伊藤大輔、伊丹万作、山中貞雄 作者:古賀重樹 淡交社 Amazon 国立映画アーカイブや京都府立文化博物館の所蔵している画像資料多し。わかりやすい。 日本映画の青春記。それぞれに面白いけれど、一番興味深かったの…

逢びき

逢びき [VHS] 東北新社 Amazon 勝手に想像していた悲恋物語に観客が付き合わされるという感じが全くなく、実に面白かった。 駅の列車や待合喫茶の軽いやりとりから始まる冒頭、何度も舞台になる待合喫茶のマダムの様子が丁寧なのも、何やら深い想いがありそ…

ブローニュの森の貴婦人たち

1944年ロベール・ブレッソン監督。 18世紀フランスの哲学者ドゥニ・ディドロによる小説「運命論者ジャックとその主人」が原作。ブレッソンが脚色し、ジャン・コクトーがセリフ監修とのこと。 男が女のいうことを額面通りに解釈する悲劇が面白いドラマ仕…

パリ、夜は眠らない。

パリの密着24時間ものみたいなものを想像していたら、NYハーレムの黒人やラテン系のゲイたちによる「ボール」というファンションショー的コンテストのドキュメンタリー。 ↓の解説に書いてあるが、「パリ」というのは彼らのコミュニティのことらしい。 www.…

アダマン号に乗って

longride.jp 聾唖学校の話をまじめくさりすぎた感じでなく描き、新しい見地を提供してくれた「音のない世界で」*1や閉じ込め型ではない精神病院の様子を描いた「すべての些細な事柄」*2などニコラ・フィリベール監督の作品は惹きつけられる魅力がある。 今回…

聖母観音大菩薩

聖母観音大菩薩 松田英子 Amazon 1977年若松孝二監督。60年代の若松監督のものに比べたら自分には描かれているものがくっきりしていて観やすいように思ったら社会派 佐々木守脚本だった。 小浜の若狭彦神社、若狭の海岸に立つ原発施設が何度も映る。人魚の肉…

こんな映画が、

行きつけのvhs専門レンタル店ふや町映画タウンが20周年ということで数少ない(というのも随分婉曲表現)常連さんとふや町映画タウンで出会った作品の数々をtwitterで挙げていってる。 ラース・フォン・トリアーの話題になって、ふや町映画タウンのおすすめリ…

「生理のおじさんとその娘」など

TV

2月の末のことだけど、京都新聞に酒井順子さんの「異次元の少子化対策」への意見が載っていた。全国に配信されている記事だったらしく静岡新聞社が全文公開しているのでリンクを貼る。 www.at-s.com 本当に酒井さんのおっしゃる通り。ずいぶん前になるが「フ…

F・W・ムルナウ

twitterでお年寄り映画のオススメとして「最後の人」が挙げられていて 最後の人 [DVD] エミール・ヤニングス Amazon お年寄り映画に目のない私、twitterに投稿されたおすすめをみて、観てみることにした。 すっと重々しい映画だと思い込んでいたのだけど、す…

実録忠臣蔵(1928)

「下鴨映画祭」*1で池田富保監督の「忠臣蔵」(1926)を弁士掛け合いで観て戦前の「忠臣蔵」も難解ではないなという感触を持ち、牧野省三監督のこちらの映画も観てみた。 よく拝見している忠臣蔵のファンサイト「くすや」での紹介↓ kusuya.net マツダ映…

ケイコ目を澄ませて

happinet-phantom.com 前から評判はきいていたこの作品、もうすぐアマプラに入るらしいが、「音が大切なので、劇場の方が良いと思ってしまう。」というtweetを拝見し、あわてて劇場公開を探したら近くの出町座でロングラン上映中。バリアフリー日本語字幕付…

雪之丞変化

先日の下賀茂映画祭*1、早稲田大学演劇博物館副館長の児玉氏の話に長谷川一夫が二度演じた「雪之丞変化」はリトマス紙というお話があり63年の市川崑版を許容する人は歌舞伎に慣れている方(歌舞伎は太った俳優の女形などしょっちゅうだからぽっちゃりしたお…

トリとロキタ

bitters.co.jp 少し前に「イゴールの約束」*1を皮切りに遅ればせに好きになって、いくつか旧作*2を拝見しているダルデンヌ兄弟。新作が来たらぜひ劇場に行こうと思っていたが、厳しい内容という前評判をきき、行くのが遅くなってしまった。しかし、観はじめ…

下鴨映画祭

「下鴨映画祭」というものが今年の3月に開催され、4/23までその様子が公開されている。日本映画の黎明期を偲ぶ集まりだ。 尾上松之助資料保存会の松野吉孝代表が中心になって事業が進められたそうだが、専門家の解説あり、活弁士と生演奏つきの上映ありで大…

雨情

「夫婦善哉」や「猫と庄三と二人のをんな」など森繁久彌によるダメ男系の作品がヒットした余波ということもあるのだろうが、一応創作と謳ってはいるものの野口雨情の伝記映画のような体裁なのに、もうとことん森繁演じる主人公の野口雨情が情けなく描かれて…

痴人の愛 (人間の絆)

痴人の愛(字幕版) レスリー・ハワード Amazon 今回観たのは谷崎じゃない方の「痴人の愛」。 先日からのベティ・デイビスブームの一環として鑑賞。ふや町映画タウンおすすめ作品(☆☆)。 モームの「人間の絆」が原作でファム・ファタールものだけど谷崎作品…

黒蘭の女

黒蘭の女(字幕版) ベティ・デイヴィス Amazon またまたウィリアム・ワイラー×ベティ・ディヴィスの作品。ちらっとみたあらすじで「悪女ものか」と思いながら鑑賞。良くてびっくり。 ベティ・デイヴィス演じる主人公は勝ち気な南部の女。「風と共に去りぬ」…

女相続人

女相続人(字幕版) O.デ・ハヴィランド Amazon またまたワイラー。面白すぎるメリハリ。なんて辛辣。 ワイドショーや週刊誌で(元?)皇族の結婚についてあれこれ取り沙汰するのを軽蔑して見てきたが、この映画では娘の求婚者を認めようとしない父親を応援…

ウィリアム・ワイラー祭

続けざまにウィリアム・ワイラーの作品を観てる。先日観た澤島忠監督のインタビュー*1でもお手本として言及されていたし、twitterでもふや町映画タウンの常連さんがふや町がおすすめとして紹介してくれたおかげで出会えた作品としてワイラーのものを挙げてお…

便利箱

以前の掲示板で話題になっていたことを探していたら、2001年に亡き友人mikaさんが書いてくれていた言葉が目に飛び込んでくる。タイトルは「便利箱」。 2001年 5月16日 mikaさんの書き込み 高橋幸広の「前兆」というアルバムに入っている「エイプリルフール」…

甲斐荘楠音の全貌展

国立京都近代美術館で「甲斐荘楠音の全貌」展が開催されている。 www.momak.go.jp 甲斐荘楠音の作品にはじめて触れたのは岩井志麻子の怪談小説「ぼっけいきょうてい」の表紙。 ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫) 作者:岩井 志麻子 KADOKAWA Amazon なん…

わが映画人生

www.bunpaku.or.jp 国立美術館のクラウドファンディング“『わが映画人生』デジタルファイル化プロジェクト”で、日本映画史上、唯一無二の“監督による監督のインタビュー映画”『わが映画人生』(日本映画監督協会製作)約110篇のファイル化が完了。京都文化博…

森の石松

www.shochiku.co.jp 吉村公三郎監督 新藤兼人脚本。1949年。 任侠ものというより、松竹の作った石松ものという感じ。型通りのかっこいい話でなく、飯田蝶子のお母さんや、殿山泰司の友人など渡世業以外のひとがきっちり描かれる人間ドラマ。 観ながら、…

地獄変

1969年豊田四郎監督。 あるとき(「伊豆の踊り子」*1「あこがれ」などを観たあたりか?)から内藤洋子さんの可憐さがとても大好きになりこれもその一環でレンタル。 地獄変 [VHS] 東宝 Amazon 原作は中高時代に何かの教材で読んだ記憶があったのだが映画…