聖母観音大菩薩

 

1977年若松孝二監督。60年代の若松監督のものに比べたら自分には描かれているものがくっきりしていて観やすいように思ったら社会派 佐々木守脚本だった。

小浜の若狭彦神社、若狭の海岸に立つ原発施設が何度も映る。人魚の肉を食べて不老不死になった八百比丘尼のもとに、原爆の被害者、アイヌ民族の男*1、キツネ憑きの女、活動家、村の有力者、迷える若者などが現れる。不老不死を続け、終わりを迎えたい比丘尼は権力者を例外として出会ったものに命を与えてしまいたいと願う。結局のところその関わりあいの形がすべて性交渉なものでちょっとわかりやすすぎて単調にも感じる。キツネ憑きの女と三味線などは瞽女さんの映画にも通じるような抒情的な空気も漂って好ましかった。

若狭彦神社の巫女のアルバイトをしている若い女学生役が浅野温子。アンニュイ感じはまだなく普通の空気の女学生として出てくる。

*1:こしの国、ウタリなどの単語が出てくるが検索するとアイヌの北上について興味深い記事も。佐々木守はドラマ「お荷物小荷物」でもアイヌのこと取り上げていた。