夜明けのすべて

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これもオーディブルで。

三宅唱監督による映画化がとても評判のいいこの作品、映画は未見だが、パニック障害になる登場人物が出てくるとのこと。自分も近しい大切な人が複数かかったものでどんなものか聴いてみたくなる。

もう一人出てくるのがPMS月経前症候群)の登場人物。PMSのときに怒りの発作が出る人で、怒られ耐性の低い自分にはこの場で怒られていたら堪らないなあと思うようなエピソードが綴られ怖気づく。が、二人の登場人物を行き来するこの作品、パニック障害の男性の項になるとぐんと理解しやすく引き込まれる。

全く対照的な二人、自分はパニック障害の人物のいうことにもっともと思い続けたのだけど、PMSの女性の、自分には驚くような行動がなければ何も結実しなかった。PMSといえど出方はそれぞれで、ここに書かれているのはこの登場人物の個性をベースにした行動で、つまり、病気を描くことがメインではなく、自分とはまるで違う他者と交差すること、がテーマだろうな。

だけどやはりパニック障害についてじっくり描かれているところは身近に生きるものとして寄り添えたり頷いたりもし、基本ユーモア含みで進む逞しさがある小説だからずっと聴いて寄り添っていたくなる良い時間を過ごせた。