ぼくはウーバーで挫折し、山でシカと闘い、水俣で泣いた

www.audible.co.jp

日々の単純家事労働にどうしてもノリきれない自分、景気づけにラジオを聴いていたが、好きなラジオ番組(「SAYONARAシティボーイズ」や「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけれど」等)が軒並みオーディブルに加入すればもっと聴けると煽ってくるものでお試し登録、早速聴いたのがこのコンテンツ。

この本のことはラジオで取り上げられていて知っていたが、しょっぱなのウーバー体験談の話だけが頭に残っていた。が、日ごろはマルクスの研究者として社会問題を部屋で考察していた著者が現場に行ってみようという新聞の企画から始まったこの本、体験エッセイなんで聴いて理解しやすいし、何事にも謙虚だったり、取材先に気を遣いすぎて率直な意見を書けなかったりということもなく、コオロギ食の開発現場にいって、帰宅後出て来た似た感触のエビ料理にちょっとノレなかったり、ミシュランシェフによる高級食材的コオロギ食についてもマルクス研究者らしいこの先の問題を考察しておられたり、とってもまっすぐでユーモアにあふれとっときやすい筆致。

オーディブル、すきま時間の有効利用はとてもいいのだが、ブックマーク機能などはあるものの、いちいち止めるのが面倒で、後からの確認作業にはあまり向いてない。

本の方のサイトで確認しながら感想メモを書くと、

www.kadokawa.co.jp

もっと深堀りしたくなったのは龍谷大学のゼミから始まったジビエ工房の話。銀閣寺に食のことしか考えていない、我が家では天才シェフの店とあがめているお店があるのだが、そこで出された熊が、全く生臭くなく、きいてみると生け捕りしたものだからとのこと。この本のジビエの話でも生け捕りのシカの新鮮さ生臭くなさが出てきていて体感的に合点した。(レストランではじめ聞いた時は生け捕りという言葉にぎょっとしたのだが。。もちろん処理もきれいごとではないし技術もいるものだ。)

↓新聞記事もあったので貼っておく。

www.asahi.com

もうひとつワーカーズコープによる林業の話も興味深かった。こちらも多分↓が新聞の紹介記事。

www.tokyo-np.co.jp

去年の秋、鳥取jig thaterという手作り感あふれるミニシアターのウォン・カーウァイ映画祭に行き、どうも託児なども保険にはいりつつ経営者自ら取り組んでおられる様子をちらっと読んだりして感銘を受けていたのだけど、自分たちの手で何かを作り出していこうという姿勢に先のワーカーズコープと共通項を感じたりしている。

 

他にもコロナ中の任天堂ゲーム「どうぶつの森」体験、ノープラスチック生活、さらには京大タテカンの話など、身近な話題で共感しながら鋭い指摘ににやっとしたり、地味なタテカン作成話にほほえましく思ったりと楽しい時間を過ごせた。他の斎藤氏の本はオーディブルで理解できるかわからないけれど、こちらはちょうどよい塩梅だった。