映画本

1000本ノック

はてなブログ「2ペンスの希望」の管理人 神戸山さんとは、父の大学の映画部、そして京都のVHS専門店 ふや町映画タウンという二つのつながりを通して知り合いにならせていただいている。 かねがね、ふや町映画タウンの大森さんと「映画1000本ノック」という話…

時代劇が前衛だった

時代劇が前衛だった-牧野省三、衣笠貞之助、伊藤大輔、伊丹万作、山中貞雄 作者:古賀重樹 淡交社 Amazon 国立映画アーカイブや京都府立文化博物館の所蔵している画像資料多し。わかりやすい。 日本映画の青春記。それぞれに面白いけれど、一番興味深かったの…

こんな映画が、

行きつけのvhs専門レンタル店ふや町映画タウンが20周年ということで数少ない(というのも随分婉曲表現)常連さんとふや町映画タウンで出会った作品の数々をtwitterで挙げていってる。 ラース・フォン・トリアーの話題になって、ふや町映画タウンのおすすめリ…

ライムスター宇多丸の映画カウンセリング

ライムスター宇多丸の映画カウンセリング (新潮文庫 う) 作者:宇多丸 新潮社 Amazon 以前宇多丸さんのラジオで事前になんの情報も集めず、興味を持っているわけでもなしのまっさらな心で映画を観にいって感想を述べるコーナーを聴いていて私が関心ない映画で…

甦る昭和脇役名画館

鹿島茂さんの映画鑑賞史をたどりながらの、鹿島さん一押しの脇役案内。ニュートラルに経歴を辿るものでなく、まず鹿島さんがその俳優のどの演技に惚れたか、そこからの話で熱さが楽しい。そのあと経歴がはさまれ、その演技の魅力の秘密が書かれている。岸田…

日本映画史110年

バラバラにみてきた日本映画の個々の作品の、日本映画史の中での位置、意味というのがわかりやすく書かれていてとても愉しく読み進んだ。今まで後回しにしていた映画にまた興味を持ったり・・そうなのかと思ったのは、日本に長い間根付いた弁士文化のこと。…

傷だらけの映画史

監督で映画をみるクセがついているが、プロデューサーで映画をみるというポイントも必要だなと思わせてくれたのは春日太一さんの東宝の激動の昭和シリーズの解説。 この本もまずはウォルター・ウェンジャーというプロデューサーを一つのくくりとして話が始ま…

原節子の真実

原節子や小津監督の話は伝説のようにそれなりに流布されていると思うけれど、この本はそこにあえてものすごい取材力でもって挑んだ渾身の作品だった。同じ著者による映画「夜の蝶」のモデル上羽秀さんの伝記「おそめ」*1も、対象への近づき方が読者を満足さ…

ひげとちょんまげ 生きている映画史

昭和3年から映画を撮ってこられた稲垣浩監督が映画界や撮影所、スターのこぼれ話を書いておられるコラム集。読みやすく、元気で臨機応変な撮影現場の空気がこちらに伝わる。 戦前戦後を生き抜いてこられた監督、戦前の映画事情など初めて知ることも多い。ふ…

俳優になろうか

笠智衆さんが日本経済新聞「私の履歴書」に書かれたものをまとめたもの。笠さん、子供の頃予習復習とか大嫌いだったらしく、中学で落第してみたり、ちょっと元気な子と友人で、柔道も得意だったものだからこわがられたり、大学もあんまり勉強したくなくとり…

日本映画の若き日々

私の中の稲垣浩監督のイメージは伊丹万作の盟友として一緒に明朗時代劇やスパイスもきいたヒューマニスティックな映画を作ってこられた方。京都・出町商店街に出来た古本屋さんでこの本をみかけ、パラパラっとみたところおもしろいけれど、父の本棚に並んで…

日本映画 隠れた名作 昭和30年代前後

先日息子の引っ越し手伝いの折、西荻窪 忘日舎にて購入。 これは買って本当によかった。小津、黒澤などの巨匠級ではない監督たちの作品を川本三郎氏と日本近現代史と歴史社会学がご専門の筒井清忠氏のお二人が辿っていかれるもの。 ロケ地巡りの好きな川本さ…

映画系女子がゆく!

確か日活ロマンポルノの感想だったかなんだかで筆者の真魚八重子さんのはてな日記にたどり着いたとき書いておられる丁寧な分析がおもしろくて、以降ブックマークして時々のぞかせてもらったり、twitterを読ませてもらったりしていた。 最近では朝日新聞にも…

映画渡世 天の巻 地の巻 マキノ雅弘自伝

マキノ雅弘氏は明治41年生まれ。上巻は誕生から子役時代、昭和14年の暮に御母堂が亡くなられるところまで。下巻はそこから昭和53年、テレビの仕事などもされているところまで。 すごい躍動感、男気。映画会社の興亡。遠慮なく出て来るぶっちゃけ話。フィ…

銀幕より愛をこめて

「とっておき映画談議」という1988年度朝日賞の受賞を記念しての89年2月13日の有楽町朝日ホールで行われた講演をおさめた部分と「映画の引き出しから」というコラム集の二部構成なのだけど、淀川さんというのはやっぱりあのしゃべり言葉の語り口の魅力も大き…

淀川長治のシネマトーク

淀川さん、「日曜映画劇場」の柔らかい語り口から印象で映画を語っておられる方かと思い込んでしまっている部分があったが、スタッフがどういうものに携わってきて、だからこの映画はこういう良さがある、とか「こういう線を狙って成功しているけれど僕は嫌…

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論

荒木さんの語り口、つくづくおもしろい!各章の頭の絵もかっこいいし、「田舎に行ったら襲われた」系ホラーなど、命名も分類の仕方、評価の仕方もよい。「田舎に行ったら〜」の分類には、「イージーライダー」も入ると思うな。ホラーはあまりみないのだけど…

荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟

おもしろい語り口。荒木氏は映画で自分をひきつけるものを分析し、みたことないものにもわかりやすく説明してくれるのだけど、その文章がなんとも魅力的でエロチックサスペンスの棚に並んでいるものをバカにするな!など、ユニークなポイントでどんどん読ま…

私の映画人生60年 キャメラマン一代

仙台 火星の庭*1で購入。昭和元年から映画の世界にいる宮川一夫さんが、幼い時のことからはじまって、この本が作られた1985年までのご自分の仕事の流儀、そこで出会った監督、俳優さんのことなどを語った本。建前で全然語られてなくて読んでいて楽しいし、映…

おしゃれの教科書 女の子のための映画スタイルブック

去年末の発売と同時に購入してぱらぱらとみていたけれど、きちんと1ページ目から詳読。寝る前に読んでいるとすーっと楽しめて夢見がいい。やっぱり杉浦さんの着眼点はいいな。「刑事ジョン・ブック 目撃者」*1とか「サムサフィー」*2とかさっそくみてみたい…

さまざまなエンディング

この本が出たのが平成二年。そのちょっと前に出た「虹のヲルゴオル」っていう映画スターと映画について書いた橋本さんの本がとてもわかりやすかったため同じようなものを期待して買ったらこっちはいかにも「エスクヮイア」連載っていう感じのかっこいいけれ…

するめ映画館

yukkekoさんの日記で紹介されていて気軽に楽しめそうなので読んでみる。吉本由美さんは「アンアン」などのスタイリストということでおしゃれすぎて世界が違う。。みたいな思い込みを持っていたのだけど、感じておられることがものすごくよくわかる。。途中掲…

映画のウフフッ

タイトルは軽いタッチなんだけど、基本衒学的な文章で結構苦労して読んだ。わからない人にもわかりやすく、という文章でなく、専門雑誌を読んでいるような感じ。知っている事柄については深い洞察に新たな視点を与えられたことも多々あったのだが、まるで知…

勝手にシネマ・フィーバー

三千花さんのティーンの時から現代に至るまで、どんなことをしておられ、その時やっていたどんな映画が心に残っているかを綴ったもの。三千花さんは長沢節の主宰したセツ・モードセミナーの出身なんだけど、ちょうど並行してセツさんの映画のコラムも読んで…

金城一紀 映画篇

映画のタイトル(「太陽がいっぱい」「ドラゴン怒りの鉄拳」「恋のためらい/フランキーとジョニーもしくはトゥルー・ロマンス」「ペイルライダー」「愛の泉」)がついている5つの短編集。 タイトルに使われていない映画のはなしもいっぱいちりばめられてい…

山手テレビキネマ室 テレキネシス

朝日新聞日曜の「コミック教養講座」という連載でこのコミックのことが取り上げられていたので興味をもって買ってみた。 初出は「ビッグコミックスピリッツ」らしく、絵のタッチなどは正統派青年漫画風で、普段わたしがあまり手を出さない分野なのだけど、深…

立川志らくのシネマ徒然草

マスコミを通してみる立川談志師匠の個性が強くて立川流の人にもうひとつなじみを感じなかったのだけど、信頼できる人のおすすめでこの本を読んでみた。さすが噺家さん。テンポもいいし、ずばずばっと主張がはっきりしていて共感できる話も多くて楽しい!ぼ…

レイトショーのしあわせな夜

映画がらみの本読むの大好きなんだけど、この本は翻訳というご職業柄、その原作のバックグラウンド的なものも説明しておられて、なんだか普段の自分とは全然違うポイントからの映画の見方が楽しかった。 翻訳とは直接関係ないところでも、映画の細かいポイン…

シネマ・スイーツ

windshipさんがボードで 今日図書館に行ったら、こんな本がありました。シネマ・スイーツ ―あの映画に出てきた!お菓子のレシピ集― です。「アメリ」のクレームブリュレ>を皮切りに 「フライドグリーントマト」「バッファロー’66」「花様年華」「卵の番人…

映画覚書

この本は、阿部さんの評論の部分と、対談がおりまぜてあって、500頁もの本をうまく読みやすく構成してあるな、と思う。 評論の部分、特に最初に収録されている2002年から2004年5月号までの「文學界」に載った評論は、久々に骨太な文章で少し読む…