三千花さんのティーンの時から現代に至るまで、どんなことをしておられ、その時やっていたどんな映画が心に残っているかを綴ったもの。三千花さんは長沢節の主宰したセツ・モードセミナーの出身なんだけど、ちょうど並行してセツさんの映画のコラムも読んでいるものだからセツさんのイメージが立体化して楽しい。すごい個性の持ち主。(ちょっと森茉莉の本を読んでる時の感じとも重なる。)
付録みたいな感じで「プラダを着た悪魔」*1のもうひとつの鑑賞法、といって、おもにファッションを切り口にあの映画のことが書いてあるのだけど、ずっとひっかかっていた気持ちがそのくだりを読んで解消した。なんかあの映画をみたとき、メリル・ストリープが仕事をちゃんとする人でなく、公私混同している困ったちゃんにしかみえなかったのだけど、メリルが「ファッション業界のカリスマというよりウォールストリートのエグゼクティブのよう」と評されているのをみて、たぶんそこだと思った。ファッション業界のカリスマなら、多少驕慢なところがあっても、すごいセンスの持ち主だから、結局許される、みたいなノリが通じ、あの映画でのメリルの行動がもっとすとんとくるんだけど、どうしてもウォール街っぽくみえるから「なのになぜこのわがまま?」みたいな風にみえたんだと思う。(実際の役柄はファッション業界だけどあくまでみかけはほんといかつく、それがアン・ハサウェイに要求してくる私用とかみあわなかった。)
- 作者: 石川三千花
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/11
- メディア: 単行本
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