2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

小銭をかぞえる

町田康氏の解説に「体裁を整えない、よい小説」とのことば。 「焼却炉行き赤ん坊」と「小銭を数える」の二編が入っているけれど、ふたつとも同棲中の女性とのやりとりで、いつもこの女性関係のシリーズ、相手への遠慮会釈ないことば、描写に震え上がってしま…

暗渠の宿

友川カズキという方が書かれたあとがきに、読み始めたらとまらなくなり、次々違う著書も読みたくなるという話が書いてあるのだけどその通り。 このリズム、言葉遣い、遠慮会釈なきさらけだしっぷり。 なんというかビターな落語みたいな・・どんどんどんどん…

重版出来 2

よしとこっちもがんばる気になる本。くだらない思惑とかに足をとられないでよいと思ったことに突き進む気持ちって大事だ。重版出来! 2 (ビッグコミックス)作者: 松田奈緒子出版社/メーカー: 小学館発売日: 2013/09/30メディア: コミックこの商品を含むブログ…

毎日かあさん 10 わんこギャル編

高校生になったお兄ちゃん、ぐんと成長が感じられるなあ。これは自分や自分の周りでもすごく感じていること。 けなげだったお嬢ちゃんが中学生になってギャルに・・これもわかるわかる・・毎日かあさん10 わんこギャル編作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 毎…

パルチザン前史

映画「マイ・バック・ページ」*1で、マツケン演じる学生の事件に巻き込まれた京大の闘士滝田修という人がこの作品に出て来るときいてみてみた。60年代の京大闘争のさなかの姿だけど学園紛争ものでよくみる(そして現実でも幼い自分もきいたことのある)アジ…

歪んだ忌日

ああ癖になる西村賢太。古めかしい文体をベースに現代の言葉をうまく混ぜ、あけすけで身を削って売るような話題を語るときにでも品があって読んでいてとても心地良い。 若いころの話となると、どうしたって以前のものと同じ日々を少し違うテーマでまとめた感…

さらばアフリカ

「世界残酷物語」*1「さらばアフリカ」「残酷大陸」と、すすむにつれ、どんどん技量があがっている、というようなことをきき、借りてみた。「世界残酷物語」も再現フィルムというか、映像に勝手な解説をつけているという感じのところもあり、実在するであろ…

五番町夕霧楼

朝日新聞の「映画の旅人」というコーナーにこの映画のことが取り上げられていて監督の田坂具隆氏が三高出身ということで1963年、佐久間良子主演だった方のこの作品に興味を持ち見てみた。 最近つくられる遊郭ものみたいにただ遊郭の華やかさ、そこにちらっと…

草迷宮・草空間

長いおかっぱの日本人形って不気味な存在として語られがちなんだけど、なんと魅力的な話にしてあるんだ!それを受け入れる内田さんの世界のすばらしさ。日本人形の名前は「ねこ」。猫の要素も持っているし、三歳の女の子のぷっくりした手などのしぐさのかわ…

Billy Bat 12

浦沢さんのコミック、登場人物の多さに1巻ずつ読んでいるとわけがわからなくなることが多いが、大丈夫。まだおいてけぼりになっていない。ヒットラーと絵画の話が出てきてさらにおもしろくなった。BILLY BAT(12) (モーニング KC)作者: 浦沢直樹,長崎尚志出…

見物記 6

だんだんに深化していき、仏像の専門用語がわからなくなってきた・・・が、お二人の感覚には僭越ないいかたをさせてもらうと仲間意識を持ってしまう。折にふれておれたちはまだこうしてるよ、そして今こう感じてるよって知らせてもらい、自分も自分の人生を…

竜のかわいい七つの子

先日読んだ「竜の学校は山の上」よりかなり熟成していて、感嘆。それぞれ違ったテイストの7つの物語。狼少年の母の育児マンガとか、飛び出しそうな絵をかく絵師のはなしとか九井さんはアレンジがうまいなー。九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコ…

風と共に去りぬ 幻のメイキング

中学生くらいのとき「風と共に去りぬ」がものすごく好きだった。ヴィヴィアン・リー、かっこいい!みたいな感じで。リバイバル上映やテレビで何度もみたように思う。そのあと、なんか夢中になりすぎたし、大時代的だし、で離れていたんだけど、このドキュメ…

シェーン

超有名で、きっと廉価版dvdであるに違いない作品だけど、とにかくいつか見ようと思っていたし、ふや町映画タウンのおすすめでもあるんで借りてみた。 すごくよくできたみているものに納得いく脚本。シェーン役のアラン・ラッドという俳優さんの涼しい目やた…

竜の学校は山の上

オビには「リアル(現実)とファンタジー(幻想)が入り混じる『九井ワールド』へご案内」と書かれているがその通り。ごくごく自然に日常の延長にケンタウロスや勇者、龍退治の話がでてきて、ファンタジーどっぷりが苦手な人間にも楽しく読める。ゲームのおも…

どうで死ぬ身の一踊り

西村賢太氏が心血注いでいる大正期の私小説家藤澤清(実際は旧字体)造の法事やら全集やらのため奔走している日々を賢太氏の不器用で、失礼千万すぎて、腹立たしくなるほどの女性関係を織り交ぜて綴っている。「苦役列車」*1にくらべると、まず最初の藤澤さ…

木ノ下歌舞伎ミュージアム 〜バババッとわかる三番叟〜

京都国際舞台芸術祭ということでうちの近くの造形芸術大学で。19時の回に行く。歌舞伎が本来持っていた「かぶく」、普段じゃない感じというのをこういう形で表現したんだな、と観終わった後思う。踊りの部分は集中し、はいりこめた。紹介

メロウ

せなけいこさんのタッチが好きなんだけど、経歴みていたら武井武雄のところに弟子入りされてたんだな!なるほど。 タイトルとちょっと考え込んでいるような男性の表紙、なんか憂鬱の虫にとりつかれている人の話かと思いきや・・考え込む状況に陥る人の話では…

ヤコペッティの世界残酷物語

タイトルは知っていたが、ずいぶん悪趣味なものでは?と思っていたのだけど、ふや町映画タウンのおすすめビデオということでみてみた。 自分がこどもだった60年代から70年代にかけて、興味本位に煽り立てられていたものを大人になってから「あれはなんだった…

ネコライオン

ネコとライオン 確かに似てる・・・両方の似ているショットを並べているけれど、やっぱり猫が好き!ネコライオン作者: 岩合光昭出版社/メーカー: クレヴィス発売日: 2013/08/31メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る

伊藤大輔監督と伊丹監督をたずねて

ふと出かけたくなり、前から行きたかった松山の伊丹十三記念館に行くことを思いつく。行き先を父に伝えると、松山からは遠いけれど宇和島に伊藤大輔監督生誕の地の碑があり、自分も大学の映画部の人と一緒にその建立に少しだけかかわったとのことだったので…

ウディ・アレンの影と霧

ウディ・アレンの作品って、表層的にはお道化的なものとシリアスなものの二つの流れ、そしてそれをミックスさせたようなもの(「メリンダとメリンダ」とかそれを解説しているような映画など・・後年特にこのタイプ多いような・・)があり、まあそれらは結局…

昨夜のカレー、明日のパン

夫亡き後、義父と同居、というこの小説のシチュエーションは居心地の悪いものかと思いきや、自分では選択できない肉親でなく、自分で選んだ共同体という感じのすがすがしさ、でもだからといってなれあっているのでなく、リアルな遠慮の概念もあり、形態だけ…

銀の匙 8

夢は自分を縛っている決めつけをはずすところから・・銀の匙 Silver Spoon 8 (少年サンデーコミックス)作者: 荒川弘出版社/メーカー: 小学館発売日: 2013/07/11メディア: コミックこの商品を含むブログ (71件) を見る

きのこいぬ 5

カバーに書いてある「顔に似合わず繊細で優しい性格のプラム*1と大雑把なきのこいぬの交流が微笑ましい」!もうそのことに尽きる。疲れているときに読むとなんかほっとする、でもエッジがいい具合にきいているコミック。なにやらかわいらしくて。きのこいぬ …