歪んだ忌日

ああ癖になる西村賢太。古めかしい文体をベースに現代の言葉をうまく混ぜ、あけすけで身を削って売るような話題を語るときにでも品があって読んでいてとても心地良い。
若いころの話となると、どうしたって以前のものと同じ日々を少し違うテーマでまとめた感じで、それぞれの話の「外伝」のような感じがするものもあるけれど、(もちろんそれでも読む楽しみはあるのだけど)冒頭の「形影相弔」と最後におさめられている表題作の「歪んだ忌日」は、芥川賞受賞後の彼の変化が描かれていて新鮮でよかった。

歪んだ忌日

歪んだ忌日