コンビニ人間

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オーディブルで。

この作品が芥川賞を獲った時、想像してしまうようなコミカルなものではなくビターで驚いたというような感想をきいていたものでそのつもりで聴き始めた。確かにしょっぱな主人公の奇行ともいえる幼き日のエピソードが紹介されかまされる。扇情的なお話みたいにその姿を呆れながら外側から描いているのでなく、内側から描いており、その描写は至って冷静でつまるところ他者にあわせていくってどういうことか、その難しさ、そこから逃れたかったらいっそコンビニと一体化してしまうような完全なマニュアルの中に没入する生き延び方しかないよなとどんどん共感していく。冷めた筆致にとてもひきこまれ、最終的には安部公房的な跳躍も。理知的で入り込みやすい秀作。