奇跡の人

 

こちらも有名すぎて観た気になっていたけど、ふや町映画タウンや常連さんのおすすめでもありやっと観た。

まずはヘレンのもとに派遣されたアン・バンクロフト演じるアニー・サリヴァンが「ガサツ」という評価を受けてしまうところに親近感。サリヴァン先生の一徹さは社会からみたら異端と感じられたり、厄介と思われることもあるという描き方も良い。南北戦争も影を落としており、サリヴァン先生に対し「だから北部人は」って陰口も。こういう影響、現代でも形を変えてまだ続いている気もする。

取り扱うのは海の向こうの特殊なケースの話でなく、生き方を問うてきて自分には突き刺さる話だった。幼き孫にしろ職務上関わりのある相手にせよ今後の自立を考えて妥協なく徹底して教えるということの難しさ。

サリヴァン先生の、なんの得にならないのにヘレンと同じ年で亡くなってしまった弟のことを思い、信念で突き進まざるを得ない姿を平板な善人として描くのでなく、その葛藤や周りとの軋轢、彼女の気持ちの孤独、さらにはサリヴァンの指導で軽い疎外感や寂しさを覚えてしまうヘレンの母の心情まで描く丁寧さが観ているこちらの気持ちを離さない。

 

何年か前にNHKのドラマで峯田和伸氏がサリヴァン先生を目指すドラマ「奇跡の人」を観て面白い着想と思っていたが、映画を観てもう一度あらすじ↓を読んでいたら

www6.nhk.or.jp

アニー・サリヴァンの孤独やもやもやを峯田氏演じる売れないロッカー(ほぼ自称というところも教える仕事がはじめてというサリヴァンと一致)に移植し、母親の気持ちも含めなんとうまく現代の日本に体現させたドラマだったんだと改めて思いもする。

公務員目指す男の子がいたが、あれ映画の方のヘレンの兄さんだなあ。クールで理知的だけど自分の頭で良く考え柔軟性も持つ人物。

峯田氏演じる主人公が一択というのもサリヴァンらしい。脚本は岡田惠和