口訳 古事記

 

古事記に出てくる神様の名前は漢字の羅列で暴走族の書く文字や歌舞伎、文楽のタイトルみたいでややこしいのだが、そこはもうさらっとあまり追求せずに読み進んだら、内容自体は生きた大阪弁リズムでとても楽しい。さすがバンド出身の町田康

冒頭のイザナギイザナミの物語、こわいものみたさやエロチシズム的ものに刺激されるような感情を子供の頃に読んだ時も揺さぶられたなと思い出す。そして黄泉の国の食べ物の話などあの世とこの世の不可逆性が割合ちょっとしたきっかけのように思われそれにも慄然としたんだったな。

天の岩戸の物語は概要は知っていたがもっと踏み込んでいたし、祇園祭の八坂神社と関わりの深いスサノオのこともきっちり立体像で入ってきた。

各地の地名の由来のような話も多く興味深かった。萩尾望都の作品に出て来た黄泉平坂*1や、先般観た「ウルトラQ ザ・ムービー」*2にも出て来た常世など。まだまだ整理がつかないが、これをきっかけに知識を重ねられたらいいな。

人物的に興味を持ったのは仁徳天皇。減税するとはナイス統治者!

児童書では都合の悪いことはかなりマイルドに改変されていたんだなということも大いに感じた。海彦山彦の物語も、児童書で読んだよりシビアだ。でも、やはり基本神話なので、何が起こっても驚かないのだけど。読んでいる間目先のことから離れられる楽しい時間を過ごせた。