ウルトラQ ザ・ムービー

 

実相寺昭雄監督、佐々木守脚本。(2000年)

こどもの頃接したTVの「ウルトラQ」の、まだ「ウルトラマン」的に定型化する前の禍々しいインパクトのある雰囲気が忘れられなく、大学生の頃もビデオを借りてきて観たりしていた。

この映画はテレビの素材を映画にした時の無理矢理場を大きくした感の弊害は少々あるし、つくりも今観るとちょっと安っぽい感じがするところもありつつも「日本書紀」なども引用しつつ少数派である海の種族が追い立てられる歴史の流れ、その延長線上としての遺跡を商売のタネにする開発への警鐘は佐々木守のカラーがとても出ており、深堀りもしたくなる。

人の芝居が入らない風景ショットなどの映像はシャープな神々しさが漂っていて敬服。

海の種族のリーダーである女性が赤い衣装で人を惹きつけ異界に導くところ、ヴェス・クレイヴンのTVムービー「ジェシカ」(1984)を翻案しているように感じる。

 

アメリカ産の「ジェシカ」では悪だくみをする異人をやっつけて逃げ切り大バンザイという方向性だったが、この作品では気持ちの軸は異人側。そんな視点はとても好ましい。

海の民の話に出てきた「熱海」「安曇川」「安曇野」「伊根の常世橋」「常世島」。。浦島伝説や天女伝説とのからみなど掘り下げたくなった。