2010-01-01から1年間の記事一覧

ロザリンとライオン

ライオンの調教がテーマの映画で、サーカスが出てくるのだけど、フェリーニ的な哀切と幻想の入り混じった空気が漂うサーカスではなく、なるほどこれは「ディーバ」のジャン=ジャック・べネックスだなと思える、近未来的なものを感じさせるサーカスで、若き…

空気人形

特殊な状況と判断されかねない素材をとても丁寧に描くことによって見ている人に関係のある物語とちゃんと認識させ、惹きつけ、心にせまるシーンをみせてくれる。。だけど、それだけでは決して終わらない感じ。。ちょうど「誰も知らない」でもこういう気持ち…

ちはやふる 10

むかーしの少女マンガだったら全く違う役割を担いそうな二枚目まつげ君(あこがれの人的存在あるいははじまりのところだったら敵役?)。彼にこんな風な役割を与え、成長をじっくりと描いていくところ、すばらしいし、少女マンガの世界の進化も感じるなあ。…

海月姫 6巻

今度は人形の世界か!この中では「ベライス」と書いてあるのだけど、ほんとは「ブライス」っていうんだな。。あの人形。ブライスって、嶽本野ばら的においがするなぁ。。。海月姫(6) (講談社コミックスキス) (KC KISS)作者: 東村アキコ出版社/メーカー: 講談…

町でうわさの天狗の子 7

心配してくれる人に心配されちゃうのは一番避けたいこと。。みたいな描写うまいなー。 石鎚山の自信家坊ちゃま栄介が私は妙に好きなんだけど、自分ってこういうタイプにいつも目がいってしまうのかも。橋本治の「窯変源氏物語」でも、匂宮が大好きだったし。…

チャンネルはそのまま!vol3

いろんなコミックを読んでいるが、一番続きを楽しみにしているのはこのシリーズと東村アキ子さんの「海月姫」だと思う。。読んだ後のこの多幸感がたまらない。。 佐々木倫子さんの、表情の描き方が大好き。仕事している人たちのこの魅力的な描き方!この本の…

カラフル

娘が中学の文化祭で演じて、結末は知っていたのだけど、あのときは15分〜20分でまとめてあって、超ダイジェスト版って感じだったなあ。話のいきさつは知っていても、そこに至るまでの細かい描写が大事で、なんにも知らない状態で読んだ方が絶対よさそう…

乙嫁語り 1・2

「エマ」の作者の中央アジアもの。きっと衣装などすごく細かく調べて描いているのだろうな。部族に伝わる刺繍の柄のことなど、他民族にも共通の、人間が文化を伝えることの根幹がある気がするなぁ。。乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)作者: 森薫出版社/メーカー: …

きのう何食べた? 4

この巻の中にも書いてあるのだけど、なによりこのコミックでつくる料理のいいところは、本格的すぎないこと。それなりにちゃんとした食事がしたい、でも面倒なのはいや、っていう層にぴったりなこと。(といっても、品数などすごくちゃんとしてるのだけど。…

三国志 20

漢中王になった劉備。(タイトルもその話)。でも次巻は「関羽の不覚」だとか、なんだかさびしそうなタイトル。。なんだか関羽が年とった、みたいな表現でいたわられてるしなぁ・・「鶏肋」の話はシビアなサラリーマンストーリーのよう。三国志 20 (愛蔵版)…

ヒア・マイ・ソング

淀川さんとおすぎさんの「おしゃべりな映画館」の第三巻で話題になっていたので借りてみた。 おすぎさんの感想として、ちょっともたもたしてみえる描写の部分があるのだけど、わたしもその箇所でそれを感じた。でも、淀川さんによるとそれらは懐かしい映画の…

川の流れに草は青々

侯孝賢の初期の作品。日本の80年代映画とも似たテイストが漂っているが、田舎の小学校のこどもたちを優等生すぎる感じでなく、でもとっても魅力的に描いている。 「おしゃべりな映画館3」で淀川長治さんがすごくほめておられるのだけど、そのほめかたをみ…

映画のウフフッ

タイトルは軽いタッチなんだけど、基本衒学的な文章で結構苦労して読んだ。わからない人にもわかりやすく、という文章でなく、専門雑誌を読んでいるような感じ。知っている事柄については深い洞察に新たな視点を与えられたことも多々あったのだが、まるで知…

2001年宇宙の旅

いつかちゃんとみようと思っていたこの映画、先日テレビで放映しているのをたまたまみて、宇宙船の中のデザインのスタイリッシュさにみとれ、さらに、なんだかすごいことになっていくストーリーにひきこまれ、改めて最初から以前とってあったビデオでみてみ…

マザーウォーター

なじみの風景がいっぱい出てきて悪くはないのだけどなんか雑誌を読んでいるみたいな感じ。気持ちのいい切り貼りをみている雰囲気。台詞も雑誌的で、なにもここでこんな台詞つけなくても黙々とやっときゃいいのになー、ってなところがちょっとあった。もっと…

三国志 19巻

やっと曹操が魏王になった。おじいさんキャラの私にはうれしい黄忠、厳願の活躍。曹操を翻弄する左慈老人の鶴に乗った姿のかっこいいこと。キョンシーのようなものまで登場して・・横山氏の絵がまたコミカルなので楽しい。 いつもあとがきが楽しいのだけど、…

西原理恵子の人生画力対決 2

西原理恵子氏の、お代を出して読んでくれている人に楽しんでもらおう、っていうプロサービス精神は素晴らしい。さまざまなマンガ家たちとスケッチ合戦を繰り返すのだけど、相手や自分の描いたものへのツッコミ力に感服。赤瀬川原平さんの路上観察ものを読む…

消えたマンガ家 3

友人が細かい仕事をしていてリスペクトしているマンガ家さんとして内田善美さんという方を挙げていて、最近描いてないけれど・・といっていたので、調べてみたらこの本に取り上げられているらしく、読んでみた。ちょうど、四方田犬彦氏が絶賛していた岡田史…

童年往時

1947年に中国に生まれ、祖母や両親らと台湾へ移住した主人公アハ。緑豊かな、のどかな村での生活は、どこか日本人にも懐かしさを覚える原風景のようだ と、ビデオジャケットに書かれているのだが、主人公の住まいの、畳と障子のしつらいなどがとても日本…

サンシャイン・クリーニング

「リトル・ミス・サンシャイン」のスタッフが作ったということで、同じ味わいがある。あちらの革命的な人気に比べるとこちらの評判はまずまず、ってところみたいだけど、私は愛おしかったな。逆にリアルさのさじ加減がさらに絶妙になっている感じでいい作品…

少年Mのイムジン河

「パッチギ」の原作になったといわれているこの本、若い人に向けて書かれた絵本みたいな本なんだけど、同時期に松山さんの「もう話してもいいかな」を読み(こちらは最後まで読む前に図書館の返却期限が来てしまったが)両方でかなり詳しく60年代に「イム…

7人のシェイクスピア 1,2

シェイクスピア劇の荘重な感じってかっこよく感じるのだけど、どうも流麗過ぎてなんだかわからないこともあるんだけど、多分あのことばの誕生についてゆっくりおもしろい推測をして描いているらしいこのコミックは読みやすい。 登場人物たちの、自分の工夫で…

秘密 8

犯罪被害者の脳から生前の映像記憶を取り出して・・というストーリーだけに基本すごいシリアスドラマなのだが、ところどころ笑いどころが作ってあってそれがなかなかおもしろく、うまい息抜きになって、すごいストーリーを一気に読ませる。 今回は大地震直後…

キャリアこぎつね きんのまち 1〜3

「キャリアこぎつね きんのもり」の続編。ホテルのキャリアウーマンが預かることになった童子も小学受験ということで、なんか途端に自分にとって別世界のはなし、みたいな気分になってきてしまった。それまでの幼い時の子育ての苦労話の方が普遍性があったな…

冬冬の夏休み

侯孝賢監督は小津安二郎監督へのオマージュで「珈琲時光」も作っていて、わたしはこの映画も小津映画的なものをすごく感じたのだけど(淡々と起きたことを描く雰囲気、赤いさし色など)wikipedeiaによると監督になってずいぶんしてから小津映画をみはじめた…

オードリーとフランソワーズ

山崎まどかさんにとっての乙女の定番を紹介した本。映画をみているとき根幹のストーリー運びは今ひとつでも、とにかく出て来た部屋の雰囲気はよかったなぁ・・みたいな気分になることがあるのだけど、ここで紹介されている映画はちょっとそういう気分になら…

ルシアンの青春

先日読んだ四方田犬彦氏とシネカノンの李氏の対談で、この映画のことがとりあげられていて、かっこいいレジスタンス側を描くのでなく、ナチに協力してしまうような立場の人間を描くルイ・マルの視野の広さ、という話だったのだけど、ほんと誰もが認め応援し…

三国志 18巻

横山三国志では「むむむ」が有名だという記事(こちら)を拝見して、なんだかそのことを意識して読んでいたら、ほんとだ!なんか別の楽しみが。馬超に魅力感じる。動物の顔のようなかぶともなんだかいいし。三国志 18 (愛蔵版)作者: 横山光輝出版社/メーカー…

口笛の歌が聴こえる

四方田犬彦氏の「ハイスクール1968」*1に描かれていた東京の風景や、公開していた映画など、あの時代のテイストがすごく好きで、同じようなものを味わえる本をおたずねしたら本に詳しい方が教えてくださったのがこの本。昭和六十年に刊行されたのでちょっと…

ナニカアル

この表紙をみただけの時、まさか林芙美子のおはなしだとは全く想像してなかった。桐野さんお得意のドロドロ系?の気配が漂っていて。。。 基本かなりきっちり林芙美子のことを調べて書かれた物語だと思う。おはなしとしてみていた映画の「浮雲」のストーリー…