童年往時

1947年に中国に生まれ、祖母や両親らと台湾へ移住した主人公アハ。緑豊かな、のどかな村での生活は、どこか日本人にも懐かしさを覚える原風景のようだ

と、ビデオジャケットに書かれているのだが、主人公の住まいの、畳と障子のしつらいなどがとても日本っぽく、実際に「タタミ」という言葉も出てくるほどで、その歴史的背景は勉強不足でちゃんとわかっていないものの、言葉をのぞけば、日本をエキゾチックにしたような(たとえば扉のブルーや、何度か出てくる人力車のたたずまいなどに異国情緒を感じる)場面が展開される。
冬の日差しの中、ゆっくりとこのビデオをみていたら、うたたねしそうな静かさなんだけど、遠くから主人公たちの様子を眺めているカメラはとても心地いい。だからといって、事件がまるで起こらないのではなく、人生の重大事が起こっているのだけど、その時その時で生きていきましょう。。という姿勢、おばあさんが、怒られている主人公にいう「大人になればなんてこともなくなることが多くなるよ」みたいな感じがとてもいい。とにかくおばあさんがなんともいえずかわいい。勉強のできる主人公の姉さんには女は勉強なんかするな、っていうノリではあるけれど、すぐ行方不明になってしまったり、庇護されなきゃならない感じでもあるのに、全然深刻さがなく、ただ流れに乗っている、という風情が、何かをこっちに伝えてくれる。