ルシアンの青春

先日読んだ四方田犬彦氏とシネカノンの李氏の対談で、この映画のことがとりあげられていて、かっこいいレジスタンス側を描くのでなく、ナチに協力してしまうような立場の人間を描くルイ・マルの視野の広さ、という話だったのだけど、ほんと誰もが認め応援してくれるようないい立場の人間の話でなく、主人公が手探りで生きている感じがとてもナチュラルによく表現されていて、後半の急に訪れる沈黙などになんともいえない余白を感じ、そしてそこからだらだら説明しないでエンディングに持っていく潔さが素晴らしかった。
また、ルイ・マルは音楽の使い方がいい、という評も目にするが、この映画でも冒頭のジャンゴのギターも、仕立て屋でのお嬢さんのピアノもタイミング良し、情景とのマッチング良し、そして映画全体の雰囲気をとても優美にしていてなんとも素敵。

ルシアンの青春 [VHS]

ルシアンの青春 [VHS]

  • 発売日: 1989/07/15
  • メディア: VHS