2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

苦役列車

なんともきっちりした古風な文体で綴られた、19歳、中卒の日雇い労働者貫多の日々ー「苦役列車」。心に浮かんだみっともない現実もどこまでも淡々と自分を客観視して書けているので、読んでいてどこか爽快。40代になって作家になってからの「落ちぶれて…

菅原伝授手習鑑

このお話、NHKの歌舞伎中継で寺子屋のあたりをちらっとみて、なんだかおもしろいなと思いつつもさらっとした説明ではどうも話の前後関係がわからないでいたところ、この絵本を読んでやっとちゃんと理解できた。ぴったりの現代語を選びつつも格調は崩さず、わ…

311

とりあえず行ってみた、っていうリアルさは十分伝わった。ただ映画として考えると、これが森達也とかの作品じゃなかったらどうなんだろう?やっぱり限定された公開になってしまうのは仕方ないかも・・っていうところもある。しかし、こんなホンネを引き出せ…

伊藤潤二の猫日記 よん&むー

かわいいかわいいって表現するんじゃなくて 「気持ち悪いものを飼うことになっちまった」ってスタンス なのになんか猫に気に入られたくて〜みたいな感じがとってもいい。ことにこの表紙の右側の猫が表情、やることうちの猫そっくりで。(伊藤さんのはちゃん…

繕い裁つ人 1,2,3

池辺葵さんの作品は「サウダーデ」*1でも、ちょっと頑なな感じのする主人公が自分の仕事、信条に基づいた生活を守っていく喫茶店での話だったけれど、この本に出てくる仕立て屋さんもやはりその主人公のお友達という設定でどこか似ている。こういうふんわり…

軍事法廷 駆逐艦ケイン号の叛乱

ふや町映画タウンのおすすめリストに載っていたのだけどいかつい名前だなーとしばらく二の足踏んでいた。海洋戦闘ものとか苦手だし。でもどこかで「海洋シーン一切なく、海洋であったことを裁判の場で描くアルトマンの手腕」のように紹介されているのをみて…

ハリー&サン

ポール・ニューマン、「ビッグ・アメリカン」というアルトマンの映画での、自分の活躍っぷりをショービジネスでみせる西部劇のヒーロー、バッファロー・ビルという微妙な役どころで漂わせる虚勢と哀感がとてもよくて好きになったのだけど、監督や脚本もつと…

ガラスの仮面 49

うーん今は足踏み状態?紫のバラの人の種明かしはもう前にあったんじゃなかったっけ?? 紫織さん(あれ、この人の名前にも紫が・・)の感じが昼メロ調に。(って全部か?)ガラスの仮面 49 (花とゆめCOMICS)作者: 美内すずえ出版社/メーカー: 白泉社発売日:…

津端周一さん

先日テレビをみていたらきょうの料理のキッチンガーデンという話で、津端周一さんご夫妻がでておられ、その生活ぶりに感銘を受けた。レシピはここ。 調べたら津端さんのお仕事を紹介した記事や、松本の暮しの本でいいなと思っていた伊藤まさ子さんが訪問され…

逃げ去る恋

アントワーヌシリーズ最終章。今までのシリーズに出てきた人たちのその後、その人達側からの言い分みたいなのが描かれていてでもみんなそれぞれ大人になってそれぞれの人生を歩んでいて良い気持ちになる作品。恋多き感じにみえたアントワーヌの浮気と本気の…

働きマン 3

松方弘子、プライベートライフが危機に。でもわかるなあ。弘子的なものに圧倒されることもあるし、内なる弘子的なもので周りがついてこないこともあるし。武骨な張り番、菅原のまったく畑違いの部署での苦闘がおもしろい。でも何よりおもしろかったのは弘子…

ちはやふる 18

今回は先生が表紙。「おまけ4コマ」で、恋愛脳の登場人物花野さんに「どこまで色気を削る気よ?」といわせているけれどそこまでして描きたかったんだろうな。確かに表紙に先生を配置してもいいほど先生のこともしっかり描かれている。千早ちゃんの進路相談…

猫だましい

猫だましい (新潮文庫)作者: 河合隼雄出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/11/28メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 12回この商品を含むブログ (24件) を見る河合さんの「子どもの宇宙」という本も児童文学からこどもを論じる著書で、そこから興味を持った…

Billy Bat 10

だんだん謎解き部分に?今のところついていけてるけれど浦沢さんの本謎解きでおいてけぼりになること多いので最後までついていきたい。悪と思っていたものが実は・・っていうこの構造はおもしろいな。BILLY BAT(10) (モーニング KC)作者: 浦沢直樹,長崎尚志…

NODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」中村勘三郎×野田秀樹

wowowで ものすごい原色のステージとハイテンション芝居にはじめ戸惑ったが、すぐに慣れ。。おもしろかった!野田秀樹のお芝居、夢の遊眠社時代に何度かみにいっていたけれど、みんながぴょんぴょんはねまわる舞台には瞠目するものの、ストーリが難解、とい…

仮名手本忠臣蔵

文楽の忠臣蔵に今月末行くので予習中。先般読み返した三浦しをんさんの「あやつられ文楽鑑賞」*1の忠臣蔵のページも筋が現代的に頭に入ってよかったのだけど、彼女のは矛盾点をツッコミながらの展開であるのに対し、この絵本では、その筋になっているいわれ…

家庭

アントワーヌ、今回も我が道を行く、って感じ。遊び心のある映像に、ひとつ前のアントワーヌもの、「夜霧の恋人たち」*1も、地下の水道管みたいなところを通って手紙が着く場面とかかわいらしい感じのところがあったことを思い出す。トリュフォーって画面に…

働きマン 2

この作品のたのしさの大きな部分が、「仁義なき戦い」からの人物名のリンク。今回は営業の千葉真。「仁義なき〜」で、周りの人達とは違った方法論を持っていた千葉真一を思い出し、すごく楽しかった。伊吹吾郎さん風の伊吹健吾氏の、柔軟性のある仕事っぷり…