冬冬の夏休み

侯孝賢監督は小津安二郎監督へのオマージュで「珈琲時光」も作っていて、わたしはこの映画も小津映画的なものをすごく感じたのだけど(淡々と起きたことを描く雰囲気、赤いさし色など)wikipedeiaによると監督になってずいぶんしてから小津映画をみはじめたとのことなのでそこは何ともいえないなあ。。それはともかく、みてよかった!台湾の田舎の風景などもなんだか日本と似ていて、異国の映画という感じがしない。
説明的でなくて、抒情的。でもそれも過度な感じでなく、いい案配。田舎で医院をしているおじいさんのうちはほんとにすてきな建物で、ブルーと茶色のあわせかたなどもとてもきれいで、女の子とぬいぐるみ、女の子と扇風機などのシーンも絵になっていて、杉浦さやかさんがイラストに描かれたらとても素敵なものになりそう。。(もう描いておられるかも。。)天井の高そうなおじいさんのおうちで、皆が集まって食事している雰囲気は、大好きだった京都の中華料理屋さん大三元を思い出す。心にいろいろな素敵な映像が焼き付き、また人の流れを、いろいろあるさ、と描いている感じにはちょっとフェリーニとかの映画にも似た感触があった。夢幻的なところはないけれど。以前ベトナム映画の「青いパパイヤの香り」を観た時、静かすぎると思ってしまったのだけど、今、ああいう映画をみたらすごくしっくりきそうだ。。って他の映画ばかり引き合いに出して感想を書いてしまったが、台湾だからこそという要素も多いとても素晴らしい映画だと思う。
あ、そういえば、以前見た侯孝賢監督のドキュメンタリー、是枝監督が作っているとのことだったけれど、是枝監督の「歩いても歩いても」はこの映画と似たところがあるなぁ。。(医師のおじいさんのもとへの帰省、次男と父の関係、ゆったりした実家のたたずまいの中でのファミリーのぎちぎちではないけれどふわっとくっついている感じ、生の本質にかかわるような瞬間など)あっち見た方、こっち見ると楽しいかも。。