まっとうな人生

まっとうな人生 作者:絲山秋子 河出書房新社 Amazon 2007年にえらく楽しんだ精神病院から脱走する男女二人コンビ(非恋愛関係)の物語「逃亡くそたわけ」*1の続編。 その後それぞれ伴侶を得て、偶然出会い家族ぐるみでつきあったりする短い時間の話だけど、…

国宝 下巻 花道編

国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫) 作者:吉田 修一 朝日新聞出版 Amazon 有吉佐和子や宮尾登美子、山崎豊子みたいなモデルありの昭和の作品を読んでいるような面白さ。残酷さのエッセンスがちりばめられ、先に先にと夢中で話を読み進めたくなる。 主人公の十代か…

国宝 上巻

国宝上青春篇 (朝日文庫) 作者:吉田 修一 朝日新聞出版 Amazon 歌舞伎界を舞台に描く「ガラスの仮面」*1的新聞小説。面白い。時は昭和の半ば、もはや戦後ではない日本。長崎の侠客の息子が関西歌舞伎の大名跡の部屋子となり一つの到達点に恵まれるもののみま…

おかえり横道世之介

おかえり横道世之介 (中公文庫) 作者:吉田修一 中央公論新社 Amazon 単行本のときは「続横道世之介」だったんだな。こっちのタイトルのほうがずっといい。 「横道世之介」は原作*1も映画*2も出来がすごく良くそこで一つの大きな完結をみせているから続編って…

ベルカ、吠えないのか

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) 作者:古川 日出男 文藝春秋 Amazon この小説、2005年の直木賞候補になった故か2006年に読んでいるのだが軍用犬を通して世界の近、現代史を描く構想が当時の自分には難しく読了するだけでやっとという感じだった。 今年に入…

余命一年、男をかう

吉川トリコさん、ライムスター宇多丸の番組で女子アナウンサーと女芸人が主人公の「夢で逢えたら」が奨められていて読んでみたのが出会い。 夢で逢えたら (文春文庫) 作者:吉川 トリコ 文藝春秋 Amazon 女子アナウンサーや女芸人に読者や小説の中の人々が勝…

物語を売る小さな本屋の物語

「藤森照信のクラシック映画館」という本の発売記念イベントが京都の徳正寺というお寺で行われたことがある。 藤森照信のクラシック映画館 作者:藤森 照信 青幻舎 Amazon 矩庵という藤森さん設計のツリーハウスのようなお茶室も見せていただいたりしてとても…

おらおらでひとりいぐも

おらおらでひとりいぐも (河出文庫) 作者:若竹千佐子 河出書房新社 Amazon この作品が芥川賞を獲った時、家庭生活をまじめに営んできたものの一人暮らしになったら大きな声では言い難いが開放感も覚えてしまった老婦人の話という紹介をきいて妙に心惹かれる…

悪童日記

悪童日記 作者:アゴタ クリストフ 早川書房 Amazon 映画*1がとても良かったこの作品、信頼できる方が原作も是非とおっしゃてたので読んでみた。海外文学から遠ざかって久しく東欧圏の話ともなれば読みにくいのではないかと手に取るのが遅れたが、まるっきり…

ジュリーの世界

ジュリーの世界 作者:増山 実 ポプラ社 Amazon 70年代後半から80年代前半にかけて京都で学生時代を過ごした著者が当時の京都を四条河原町付近の有名なホームレス「河原町のジュリー」をキーに描いたもの。著者のあとがきによると、はじめ、「河原町のジ…

山崎ナオコーラさん

「人のセックスを笑うな」*1原作者の山崎ナオコーラさん、「人のセックス~」は映画だけ観たことがあったけれど、松山ケンイチが自由すぎる永作博美に振り回されるお話、という印象で終わっていた。 多分共同通信からの全国の地方紙への配信かなと思うのだけ…

ミシマ社の本 

前から ミシマ社という会社のことを仄聞し mishimasha.com 魂のこもったおもしろそうな出版社だなと好感を持っていた。 今年はミシマ社の本を二冊読む機会があった。 最近読んだのがいとうせいこう氏の「ど忘れ書道」 ど忘れ書道 作者:いとうせいこう ミシマ…

大阪

大阪 作者:岸 政彦,柴崎 友香 河出書房新社 Amazon 社会学者の岸政彦さんと作家の柴崎友香さんが交互に大阪テーマでエッセイを書かれているもの。刊行された時朝日新聞に対談が載っていてそこでも語られているのだが、大阪の通天閣だとかこてこてだとかのイ…

コラムニストになりたかった

コラムニストになりたかった 作者:翠, 中野 発売日: 2020/11/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 「あのころ、早稲田で」*1の続編ともいえるような69年から2010年代まで中野翠さんの軌跡を綴ったもの。自分も生きていた時代というのもあるのかさらに読みや…

いいかげん、馬鹿  あのころ、早稲田で

いいかげん、馬鹿 作者:中野 翠 発売日: 2020/12/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) あのころ、早稲田で (文春文庫) 作者:翠, 中野 発売日: 2020/03/10 メディア: 文庫 中野翠さんの本を二冊。「いい加減、馬鹿」は、毎年年末に出るサンデー毎日のコラム…

どん底

日仏の「どん底」映画を観比べ*1、ルノワール版は原作を大胆に変えたといわれているけれど原作はどうだったのか気になって読んでみた。 どん底 (ロシア名作ライブラリー) 作者:ゴーリキー 発売日: 2019/10/04 メディア: 新書 読書力がすっかり落ちているので…

橋本治さん

橋本治氏の「完本チャンバラ時代劇講座」。 完本チャンバラ時代劇講座 作者:橋本 治 メディア: 単行本 日本の精神史みたいな内容で登山のように何か月もかけて読み終えた。読んでいる時は、なんでこんなにこねくりまわさなきゃならないのか・・と思う時もあ…

テレビの嘘を見破る

テレビの嘘を見破る (新潮新書) 作者:今野 勉 発売日: 2004/10/01 メディア: 新書 テレビのドキュメンタリー番組の作り方、状況をわかってもらうために再現的に撮ることのどこまでが許容範囲かということをドキュメンタリー番組を巡って起きた事件を追いなが…

NHK「100分de名著」ブックス ユゴー ノートルダム・ド・パリ 大聖堂物語

NHK「100分de名著」ブックス ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ 大聖堂物語 作者:鹿島 茂 発売日: 2019/08/30 メディア: Kindle版 テレビの「100分de名著」でこの本の話をきき、そこから映画化作品を3本観て*1、ちらっときいていた原作との違いが気…

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫) 作者:恩田 陸 発売日: 2019/04/10 メディア: 文庫 蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫) 作者:恩田 陸 発売日: 2019/04/10 メディア: 文庫 読んだのは単行本版。 この作品が映画化された時の音楽に惹かれ、その作品世界が知りたくな…

だから、何

だから、何。 作者:中野 翠 出版社/メーカー: 毎日新聞出版 発売日: 2019/12/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) 20年くらい中野翠さんの年末に出るコラムを楽しみに読んでいる。おととしの「ズレてる、私!?」*1の時は、国際情勢的なところで「?」と…

もう少し浄瑠璃を読もう

文楽の公演などで、ある一場面だけを演じられ、そこに至るまでの話はあらすじで追うしかないということがままあるが、橋本さんはその物語の本質、肝要なところに切り込み、あるときは浄瑠璃ではなく同じ題材の説経節などに長い時間をかけて解説し、これはこ…

私の記録映画人生

私の記録映画人生 (岩波現代文庫) 作者: 羽田澄子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2014/03/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 羽田澄子さんの自伝。自由学園を出られた後、岩波に入られ、羽仁進氏の助手になり岩波写真文庫からスタートされ…

教育と愛国

教育と愛国――誰が教室を窒息させるのか 作者: 斉加尚代 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/05/31 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 第55回ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞したMBSのドキュメンタリー「教育と愛国」を…

脇役本

脇役本 増補文庫版 (ちくま文庫) 作者: 〓田研吾 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/04/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 脇役俳優の出版した本から脇役俳優の経歴や趣味などを探るのが脇役本のたのしみ方だけど、この本は単なる…

愛なき世界

愛なき世界 (単行本)作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/09/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るしおんさんは、世の中に細かいことはあまり知られていない、一見地味だけど、誰かが打ち込んでいる美しい世界を表現…

ラブという薬

ラブという薬作者: いとうせいこう,星野概念出版社/メーカー: リトル・モア発売日: 2018/02/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見るいとうせいこうと彼がかかってる精神科の主治医の対談集。精神科にかかって楽になる人を増や…

日本ボロ宿紀行

日本ボロ宿紀行 (鉄人文庫) 作者: 上明戸聡 出版社/メーカー: 鉄人社 発売日: 2017/07/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る ボロ宿というと、自分はつげ義春の「リアリズムの宿」を想像してしまうのだけどこの本ではネガティブな意味のボロ宿では…

ズレてる、私!?

ズレてる、私! ? 平成最終通信 作者: 中野翠 出版社/メーカー: 毎日新聞出版 発売日: 2018/12/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 毎年、年末に出る中野さんのサンデー毎日のコラム。このひとの小粋な趣味が大好きですすめてくださる映…

猫のエルは

猫のエルは 作者: 町田康,ヒグチユウコ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/09/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 町田康氏とヒグチユウコ氏、お二人とも猫を題材に作品を作っておられ、親しんでいたけれど、こうしてコラボレーションされ…