NHK「100分de名著」ブックス ユゴー ノートルダム・ド・パリ 大聖堂物語

NHK「100分de名著」ブックス ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ 大聖堂物語 作者:鹿島 茂 発売日: 2019/08/30 メディア: Kindle版 テレビの「100分de名著」でこの本の話をきき、そこから映画化作品を3本観て*1、ちらっときいていた原作との違いが気…

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫) 作者:恩田 陸 発売日: 2019/04/10 メディア: 文庫 蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫) 作者:恩田 陸 発売日: 2019/04/10 メディア: 文庫 読んだのは単行本版。 この作品が映画化された時の音楽に惹かれ、その作品世界が知りたくな…

だから、何

だから、何。 作者:中野 翠 出版社/メーカー: 毎日新聞出版 発売日: 2019/12/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) 20年くらい中野翠さんの年末に出るコラムを楽しみに読んでいる。おととしの「ズレてる、私!?」*1の時は、国際情勢的なところで「?」と…

もう少し浄瑠璃を読もう

文楽の公演などで、ある一場面だけを演じられ、そこに至るまでの話はあらすじで追うしかないということがままあるが、橋本さんはその物語の本質、肝要なところに切り込み、あるときは浄瑠璃ではなく同じ題材の説経節などに長い時間をかけて解説し、これはこ…

私の記録映画人生

私の記録映画人生 (岩波現代文庫) 作者: 羽田澄子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2014/03/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 羽田澄子さんの自伝。自由学園を出られた後、岩波に入られ、羽仁進氏の助手になり岩波写真文庫からスタートされ…

教育と愛国

教育と愛国――誰が教室を窒息させるのか 作者: 斉加尚代 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/05/31 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 第55回ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞したMBSのドキュメンタリー「教育と愛国」を…

脇役本

脇役本 増補文庫版 (ちくま文庫) 作者: 〓田研吾 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/04/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 脇役俳優の出版した本から脇役俳優の経歴や趣味などを探るのが脇役本のたのしみ方だけど、この本は単なる…

愛なき世界

愛なき世界 (単行本)作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/09/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るしおんさんは、世の中に細かいことはあまり知られていない、一見地味だけど、誰かが打ち込んでいる美しい世界を表現…

ラブという薬

ラブという薬作者: いとうせいこう,星野概念出版社/メーカー: リトル・モア発売日: 2018/02/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見るいとうせいこうと彼がかかってる精神科の主治医の対談集。精神科にかかって楽になる人を増や…

日本ボロ宿紀行

日本ボロ宿紀行 (鉄人文庫) 作者: 上明戸聡 出版社/メーカー: 鉄人社 発売日: 2017/07/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る ボロ宿というと、自分はつげ義春の「リアリズムの宿」を想像してしまうのだけどこの本ではネガティブな意味のボロ宿では…

ズレてる、私!?

ズレてる、私! ? 平成最終通信 作者: 中野翠 出版社/メーカー: 毎日新聞出版 発売日: 2018/12/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 毎年、年末に出る中野さんのサンデー毎日のコラム。このひとの小粋な趣味が大好きですすめてくださる映…

猫のエルは

猫のエルは 作者: 町田康,ヒグチユウコ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/09/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 町田康氏とヒグチユウコ氏、お二人とも猫を題材に作品を作っておられ、親しんでいたけれど、こうしてコラボレーションされ…

ギケイキ 2 奈落への飛翔

「奈落への飛翔」とはなんとかっこいい副題であろうか。まさにパンクな。 町田氏ならではのリズムの良さ、関西弁のビビッドさを楽しむ。 現代におきかえた言葉で読みやすいにも関わらず「義経記」に忠実に書かれているというこの作品、歌舞伎や文楽の「義経…

三谷幸喜のありふれた生活15 おいしい生活

和田誠氏の描く三谷氏のイラストも確かに年輪を増しているなあ・・ 三谷氏にもこどもさんが生まれ、前夫人の小林聡美氏も好きなものでなにか勝手にあまり今の私生活のことは積極的にききたくないような心持ちだったけれど、そこはプロ、いやな感じではなくこ…

フェイクと憎悪

トランプ政権の樹立以降だろうか、為政者にとって都合の悪い話はフェイクニュースといわれてしまうような、また多くの人々が裏ドリを一応ちゃんとした既成の報道でなく、ネットをたよってしまうような昨今、どのように現状をよい方向に持っていったらいいか…

春の消息、魂の秘境から

春の消息作者: 柳美里,佐藤弘夫,宍戸清孝出版社/メーカー: 第三文明社発売日: 2017/11/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る柳美里氏と佐藤弘夫氏が死者と生者のまじわりの場所を訪ね歩いたもの。写真 宍戸清孝氏。 いわゆる「死んだ子の年…

きのう、きょう、あした

映画「人生フルーツ」*1の後日談。ひとりになられた時の気持ちわかる気がする。そこからの、一歩一歩。 英子さんの魅力的な笑顔を切り貼りした本の構成が愛らしい。 「人生フルーツ」で気になっていたしゅういちさん最後の仕事「まちさな」のことも詳しく載…

さざなみのよる

NHKで放映していたテレビドラマ「富士ファミリー」に出てくる人々が出てくる物語。テレビドラマとは別個のスピンオフの小説。テレビドラマに描かれなかったそれぞれの登場人物の物語が描かれ、もっと深く味わえる。テレビドラマでも小泉今日子の演じていたな…

なつかしい芸人たち

図書館で借りていて、一部読み切れないまま返却期限が来てしまったが、(なじみのない方の章を後回しにさせてもらった。)昭和の大衆史をトピックを選んで語っておられるような本。気になったのが「ヒゲの伊之助」の項。白髭をたくわえた式守伊之助、なぜか…

TOKYO海月通信

恒例の年末年始のたのしみ 中野さんの「サンデー毎日」のコラムのまとめ。中野さんの薦めてくださる映画はほぼ間違いがないので、これを鑑賞のたよりにしている。(ちょうど本が出るころ、wowowでも放映するくらいのタイミングなので)今回は年末に京都高島…

路地の子

「路地を歩く」*1に感銘を受け、上原さんのお父さんをモデルにした小説を。内側からしか描けない筆致。 「路地を歩く」にはイデオロギー関係なしに、儲かるためなら、共産党とも右翼とも手を組むお父さんのことがちらっと書かれていたが、それにはこういう動…

満映とわたし

少し前に著者で、満映の編集者だった岸富美子さんが出てこられた満映の歴史を辿るテレビ番組があったが*1、こちらはそれがもっと詳しくなった感じ。岸さんの回想に石井妙子さんが取材を重ね、各章に解説も加える構成になっている。テレビではさらっと流され…

日本の路地を旅する

著者の言う「路地」とは、中上健次の描いてきた路地、つまり被差別部落のことである。同じ微妙な気持ちを共有している大阪の路地出身の著者だからこそできた、全国の路地のあとを訪ねその歴史を辿っていく本。路地には「寝た子を起こすな」という考え、いや…

淀川さんと横尾さん

淀川さんと横尾さんの間の意気投合が伝わって来てほんとに楽しい。横尾さんが説明されていることを淀川さんがきいておられない感じで、再度同じことを話された時の大きなリアクションみたいなものがあるのだけど、そこもほほえましい。横尾さんの得意の神秘…

東京異形散歩、モダン京都

東京吉原にある遊郭専門の本屋さんカストリ書房が、先月京都に出店をされていて、のぞきにいった。濃い本も多数並ぶ中、惹かれたのは 「東京異景散歩」東京異景散歩 昭和20~30年代の東京の闇を歩く! (タツミムック)出版社/メーカー: 辰巳出版発売日: 2015/02…

かわいい琳派

琳派、今まで構えてしまうというか、装飾的なしかし縁遠い、という認識だったけれど、こちらの本は私のようなものにピッタリの視点で琳派の作品を紹介している。特に神坂雪佳のものはどれも好み。工芸デザインもされていたからかな・・かわいい琳派作者: 三…

大人のための昭和史入門

第一章の半藤一利、船橋洋一、出口治明、水野和夫各氏による特別座談会「世界史の中の昭和史」は読みやすく、テレビ「その時歴史が動いた」「英雄たちの選択」風の現代的解釈がおもしろかった。二章以降は、第二次世界大戦前後の人物や事件についてそれぞれ…

石黒亜矢子作品集

石黒さんは現代の浮世絵師というか、妖怪変化あるいは物語に登場する人、動物などをとても愛情深くそのものが持っている魅力をうまく引き出されて描かれていて拝見していてとても楽しい気持ちになる。とても精緻に描かれている時もあればちょっとしたマンガ…

京都のおねだん

元々は「ふや町映画タウン」のことが載っているので読み始めたのだけど、長年京都に住んでいても知らなかった、この本を読んだことで得られた情報が多かった。(webにも載っていないさるお寺が提供している、完全口コミ情報でしか知り得ないBAR空間など)そ…

ひよこのあゆみ

先日、遠藤周作氏の誕生日ということで回って来たtwitterをみていて、中高時代に読んだ「おバカさん」という小説が、キリストの姿をユーモア小説の形で描いていて好もしかったこと、また「聖書の中の女性たち」という本に出てきた慶応大学の同級生の「ひよこ…