下り坂をそろそろと下る

www.audible.co.jp

 

オーディブル好いていて今日聴き終わったのは平田オリザ氏の「下り坂をそろそろと下る」

途中司馬遼󠄁太郎の「坂の上の雲」からの引用がたくさん出てくるが、なるほどタイトルからして意識していたんだな。

想田和弘氏がオリザ氏に密着したドキュメンタリー「演劇1,2」*1では、オリザ氏の、精神疾患予防のためにも文化芸術活動をという主張を一理あるような我田引水であるような、評価保留みたいな気持ちで観たのだけど、今回の書物の中で村おこしや地方に人を呼び込むのってセンスがなきゃ魅力がなきゃという主張は大いに同意。最近福祉作業所製品でもすごくセンス良く、かってのように福祉前面で売るのではなくなっているものをみかける。つまりそういうことだと思う。楽しいから自然に人を惹きつける、そのことが要で。楽しくなさそうなイベントなんか参加したくない。

そういう流れの中で子育て中の母親も生活保護受けてる状態でも演劇で(には限らないと思うけど文化活動に参加して)リフレッシュや新しい何かを生み出せるような魅力的な社会こそ目指さなきゃいけないという意見はその通りだと思った。人はパンのみに生きるにあらずだ。

書かれたのが2016年で演劇界はその後ピンチにも見舞われたりするので、出てくる小豆島や豊岡のその後は気になったりもするけれど、豊岡が柳行李から始まって鞄で遠くの客も惹きつける街になっているのは自分もこの眼でみている。どんな物事でも特効薬なんかないけれど、一流のパワーで人を呼ぶというのは一理あるし、なんだか今期のドラマ「パリピ孔明」をみているような気持ちにもなった。絵を描いてみるのがうまい人が人を奮い立たせるというのは真実だ。