宇宙怪獣ドゴラ、ノーライフキング

久しぶりに再見した伊丹監督の「タンポポ」で中村伸郎さんの飄々とした姿がとても印象に残り(80年代に観た時も好きなシーンだったけれど、小津作品での中村さんを観てからだとなお一層楽しく)中村さんの活躍している作品を二本観た。

 

一本目は「宇宙怪獣ドゴラ」。

 

宇宙大怪獣 ドゴラ

宇宙大怪獣 ドゴラ

  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: Prime Video
 

 

参考にしたのは阿部十三さんという方が執筆されているこちら↓のサイト。 

www.hananoe.jp

阿部さんのサイトに書かれているように確かに映画の出来自体は「ん?」というところも多かった。ダイヤモンド窃盗団と炭素に反応する怪獣、それに筑豊の炭田をからませるという発想は面白い気もするのだけど、結局ばらばらで未消化な感じも。中村伸郎さんは活躍場面がとても多かった。理知的でシニカルな空気を味わえる。刑事を演じる夏木陽介氏も好ましい感じではあった。

 

もう一作観たのが、「ノーライフキング

eiga.com

 

あらすじだけ読んでいた時、「デジモンアドベンチャー」の映画版でみたような、デジタルで危機を乗り越える話かと思ったがそれは見かけ上のとっかかりのみで全然違うことを語っている映画だった。世の中が不安や噂話に支配されてしまう状況が今日的で驚く。中村伸郎氏の出番は少ないものの、とても重要な役回り。当事者を子どもにすることによってテーマに近寄りやすくなっている。そして、いつも感じるが、市川準監督の街や子どもの映し方も良い。今まで観てきた市川監督の作品の旧いものやはかなげな夢への愛着を感じられる空気*1が私は好きなのだけど、この映画も出始め新人類といわれた原作者いとうせいこうさんが提示する世界でも人間の行動って途中出てくるトレンドウォッチャー的なものに消費されるものではなく、その時その時みための形は変えてもおそれとかそこからどうするという判断とか根源的なものは時を超えて同じ不易なもので正解は出なくても歩き続けることが正解だと映像中心のまだるっこくないタッチで伝えているように思えた。