殺陣師段平

 

森繁が段平を演じる「人生とんぼ返り」(1955)は観たことがあった。

これはそのオリジナル。監督は同じくマキノ。脚本が黒澤明。1950年。

段平はこちらでは月形龍之介。ちょっとコミカルなシーンもありこういうのもされるんだなあと。あぐらみたいな座り方とかとってもキマっている。森繁に比べてとてもスキッとしているように思われる。

あと終盤に出てくる医師のエンタツが面白くて。黒澤明が脚本を書くような映画にも出ておられるんだなあ。戦前の邦画、真面目な人情噺や深刻な話で浮いてるようなギャグシーンが平気で入るようなことままあるように見受けられるがこちらもここだけ際立ってこれでいいのかと思うような面白さ。文楽でも真剣な作品で三枚目の詰人形のおふざけで客の緊張をほぐすようなシーンがよく設けてあるけれどこれもそういう感じかな。リメイク作「人生とんぼ返り」を見返すと、同じように医師が出てくるもののそう突出させずナチュラルな演出になっていた。(「人生とんぼ返り」では医師を澤村國太郎が演じている。これはこれでおさえたほんわかした気配が良かった。)

月形版では市川右太衛門がすっきりした澤田正二郎ぶり。