人生劇場 飛車角

 

「人生劇場」、こちらも名前はきいていたが未体験ゾーンの映画である。色々な監督のバージョンがあるらしいが、東映明朗時代劇で馴染んでいる沢島忠監督版(1963年)のこちらをまず観てみる。

いきなり村田英雄の「やあると思えば」から始まりこてこてである。しかし配役一覧の中に加藤嘉田中春男など好きな俳優さんの名前が出てきて期待する。

主人公飛車角は鶴田浩二

割合早い時間に加藤嘉が鶴田が恩義を感じている小金親分として登場。早速嬉しくなる。品のあるような、それが逆に弱さにも通じそうなはかなさがあり早速小金親分に肩入れ。ストーリー上、小金親分が魅力的でないと話が成立しない大事な役。

金親分はストーリーを回す引き金になるのだが、この作品の中で何より魅力的なのは月形龍之介が演じる年老いた侠客吉良常だ。縁のある坊ちゃんの下宿で事件にまきこまれ警察の取り調べにあう体で登場するが、もう登場するなりただものではない気迫があり、すっかり参った。月形さん、twitterでもファンの方の熱い投稿をみかけたりしていたが、鋭いのに少しとぼけたような魅力も兼ね備えているところがなるほど良い。そういえば大久保彦左衛門も彼が演じている時*1の方が古川ロッパが演じているものより企みがなさそうな感じで好きだったな。

鶴田浩二の子分役で高倉健。女を巡るあれこれは自分にはどっちでも良く早く切り上げてほしかったが、高倉健が物語の中でぱっと光が当たる車引きとしてのシーンは「ジャコ萬と鉄」*2的な元気でやんちゃな時代の健さんでいいなと思った。

田中春男は、獄で大阪弁でしゃべっている人物かな?