MAKING OF DREAMS

 

MAKING OF DREAM [VHS]

MAKING OF DREAM [VHS]

 

大林監督による黒澤監督の「夢」のメイキング。黒澤監督、天皇とかいわれてて、今まで作品に厳しい映像ばかり見てきたが、このメイキングの中ではとても素敵な笑顔が見られた。自分の思いが通じたときこんな満面の気持ちのよい笑みを浮かべる人だったんだ。。エキストラの人たちへの心からの挨拶、撮影現場で泣き出す赤ん坊に困っている姿など黒澤監督のことを近しく感じられる映像がたくさん挟み込まれていた。大林監督の黒澤監督への愛情も豊かに感じとれるフィルムだ。

90年当時、映画「夢」をみたときは、ちょっとピンと来なかった部分もあったんだけど、このメイキング通して再見しているとなかなか楽しい。一番記憶に残っていたのは葬送のシーンだったが、撮影風景をみていると笠さんの演技に黒澤さんがとても目を細めてみておられるところが映っていて幸せな気持ちになった。キツネの嫁入りのシーンも葬送のはなしとごっちゃになって覚えていたが、独立した別のはなしでこれまた素晴らしかった。はじめてみたときより、葬送にも民俗学的なことにもこちらが関心を持っているということもあるだろうし、黒澤監督が80歳になって伝えたかったものを渾身の力で描いたものということもこのメイキングでしっかり感じとれ、映画本編への理解も深まったと思う。

原発に関するものも「夢」の中にはあったんだなあ。まさに311以降の日本を予見するようなことが語られていて驚いた。

本多猪四郎監督との友情も素晴らしかった。

余談だけど、エキストラの青年たちがスタジャンを着ていてとても懐かしい気持ちになった。時代ごと封じ込められている感じ。