北京的西瓜

1989年大林宣彦監督作品。

中国人留学生の苦しい生活を見かねて献身的な援助を始め、のめり込みすぎて、家族の危機さえ迎えてしまう八百屋さんをベンガルが演じる物語。実話を元にしている。
外面の良さが過剰になって、家族の不満が起き、自分でもやりすぎているとわかっているから余計それを認めたくないような複雑な気持ちがうまく表現されていて、ただの良い話を逸脱するスリル感。そのあたりも大林監督の妙味だなあと思う。

少し前に山崎豊子さんの「大地の子」取材の時の胡耀邦氏との面会の様子のテープが発見され、胡耀邦氏が日本と中国の関係においてとても頼れる存在だったということを報じているテレビ番組(こちらこちら)があった。胡耀邦氏の死去の直後天安門事件が起こり、違う方向に舵をとった中国の話が出てきたのだけど、まさにこの映画も天安門事件に対する監督のメッセージが強く含まれている。そして、89年頃の中国との関係ってこういう感じだったなあという感慨をとても起こさせる。

北京的西瓜(ぺきんのすいか) [VHS]

北京的西瓜(ぺきんのすいか) [VHS]