順子わななく

順子わななく [DVD]

 

1978年日活ロマンポルノ。vhsにて。武田一成監督作品。武田監督の作品、「おんなの細道 濡れた海峡」*1もキツいところがなく、抒情が感じられ好きだったが、こちらも良かった。もう今の時代っていうのもあるのか、また自分が女性というのもあるのか、ロマンポルノでも犯罪的に女性を・・とか、哀しさの表現としては理解できてもやはりみていてしんどい。この作品はそういうのと無縁で、丁寧に下町でロケされた宮下順子のほほえましい話という感じでよいなあとなった。もちろん、ロマンポルノだからそれなりのシーンもあるし、主題もそういう感じではあるが・・宮下順子の下宿のおばさんに最近名前をちゃんと認識した*2武智豊子さん(武知杜代子名義)。一階で駄菓子屋を経営している設定がサマになっている。宮下順子のところに通ってくるのが殿山泰司氏。殿山さんがいかにも下町の仕事人って感じで、魚のせりの場面の、帽子をかぶって符丁をあやつるところなどすごくリアル。役が生きている。下町の旦那衆らしい行動に見惚れる。殿山泰司の奥さんは絵澤萌子氏。宮下順子との対比みたいな役回り。

浅草寺の節分の様子、荒川線の宮ノ前駅あたりの風景などの撮り方もちゃんとしていて味わえる。*3カメラマンは姫田眞佐久氏。寿司屋のシーンなどでも椅子と人間の配置などに美しさを感じた。

*1:おんなの細道 濡れた海峡 - 日常整理日誌

*2:下町の太陽 - 日常整理日誌参照

*3:宮崎祐治氏の「東京映画地図」によると、「荒川線の(宮ノ前駅)停車場を降りるとすぐに尾久の八幡神社。日活ロマンポルノながら『順子わななく』ではその辺まで丁寧に描かれる。」と書かれている。p203