これが噂の安藤昇か!
診療所の町医者として日々を送る彼のところに担ぎこまれた戦争中からの因縁浅からぬ朝鮮籍の男(中谷一郎)。彼との歴史は、戦争中、戦後すぐ、そして現在と自制が入り乱れるにもかかわらずとてもすっきりとわかりやすい。
一番中心に描かれるのは戦後すぐ安藤昇も地主であるマーケットの権利を巡る半島系との攻防、「この世界の片隅に」*1で終戦を迎えた時一瞬みえた半島の国旗を思い出す。半島系のボス、内田良平の迫力!「怪談昇り龍」*2で冒頭途方もなく陽気な極道者を演じていた人か!いつも何か不思議な魅力がある。
菅原文太もふっきれたヤクザ演技。町の元顔役アラカンさんの華。伊丹十三が頭でっかちでまっすぐで血気盛んという役を熱演。澄ましているだけじゃない姿が新鮮。そして、真理明美という女優さんが演じる物語を動かすことになる半島系の女性の凛として美しいこと。彼女の清冽さが原動力になっている。
物語はここで終わるのか!という絶妙な幕切れ。そこがとても良い。