山河遥かなり

 

山河遥かなり(字幕版)

山河遥かなり(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 以前、大林監督が「最後の講義」というテレビ番組*1でこの映画のことをお話になっておられた。

第二次大戦後の混乱、ヨーロッパで様々な国が占領され分断され言葉が通じない状況も描いているという意味では、先日観た「第三の男」*2ともつながりを感じた。

戦後、高度経済成長期に育った自分はヤワなもので、今の世の中の状況に簡単に振り回されたり気分が落ち込んだりしていて、そんなもの、ここに出てくる、家族と引き離されて生きなければいけない子どもたちの心情とはくらべものにもならないけれど、でも、やはりここに出てくる子どもたちの、不安から思い詰め、それが極端な行動に出てしまう気持ちは、今だからこそずっと身に迫ってくる。

アメリカ兵が良く描かれすぎという声もレビューなどでみるけれど、ユダヤ系でヨーロッパからアメリカに渡ったジンネマン監督にとってはごく自然な表現ではないだろうか。ワールド版「長屋紳士録」という色彩も感じるこの作品、ここで、アメリカ兵に裏があったりしたら、みているこっちも視点が定まらなくて落ち着かない。

またアマゾンのレビューで、終わり方についても書かれていたが、確かに何かめでたしめでたしではない気配を感じるものだった。この細やかさ、とても素晴らしいと思う。