イゴールの約束

 

イゴールの約束 [DVD]

イゴールの約束 [DVD]

  • 発売日: 2012/03/23
  • メディア: DVD
 

観たのはvhsにて。

映画の好みが重なりがちの方々からこの作品のことを耳にし、気になっていたところに、「ハッピーアワー」*1や「寝ても覚めても*2で感銘を受けた濱口竜介監督がこの作品の監督ダルデンヌ兄弟と対談しているのを朝日新聞で読み、勢いがつき観てみた。

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だが、気合いなどいれなくてもすっと入っていける話であった。主人公イゴールは、ベルギーで不法滞在者をこっそり泊め労働させることで生活をしている父の助手のような毎日。本当は車の整備工になりたいのに、仕事場も父の呼び出しですぐ早退しなければいけないような日々。それに反発するとかではなく、こういうものだと割り切っているような感あり。改造して作ったゴーカートを友人と運転するのが唯一楽しみの時だ。

dvの加害者的に暴力と優しさをくるんだ感じでイゴールを完全に支配する父。イゴールへの愛情がないわけではないところがタチが悪い。そんな父のもと生活するためにいっぱしのワルなイゴールだけど、ある事件をきっかけに自分の考えで動こうとし始める。状況の積み重ねの表現がうまく、シンプルに作ってあるので、イゴールの逡巡葛藤に、みているこっちもすっかり同じ気持ちになり物語にのめり込む。優れた小説に邂逅したような後味。

ダルデンヌ兄弟、以前気になって録画していた「息子のまなざし」の監督でもあることに後で気がつく。次々観てみよう。