四月の魚

 

高橋幸宏さんが亡くなられた。自分たち50代後半夫婦にとってYMOは10代後半から20代前半にどっぷり浸ってアルバムが出るたび追っかけ、娘(30代前半)の友人が「ライディーン」など聴いているのをみると嬉しく思ったりしてとても身近な感覚を持ち続けていたグループだ。音楽的な追悼の言葉は持ち合わせていないけれど、せめて、と、幸宏さん主演の大林監督「四月の魚」(1984)を鑑賞。

少し耳にする前評判などから怪作の予感はしていたが。。。原作はジェームス三木の小説で設定がおっさんくさい。幸宏さん演じる休眠中の映画監督が世話になった南の島の酋長の接待のため妻を提供しなきゃいけなくなってとかいう、今ではちょっと何重にも驚くような筋書き。幸宏さんの追悼でお人柄の良さをよくきくが、本当によくこの仕事を引き受けられ完遂されたなあという感じも。ま、YMOの人たち色んな仕事をしておられるものな。幸宏さんはお料理がえらくうまく蘊蓄家という設定なんだけどフランス料理を作るシーンなどはとてもナチュラル。ピンクハウスやインゲボルグなど当時流行りのデザイナーズブランドの服が出てきて、ちらっと映るディスコや豪華な美食などはとても時代の空気を吸い込んでいる。脚本は内藤忠司、大林宣彦、ジェームズ三木と三名の名前が並ぶがちょっと粗い気が。こんなことするかな?というシーンが多々あり。80年代、俳優でなく著名人を使った企画などが散見するけれど*1そんな流れの中で生まれた作品なのかな?まあ大林監督作品には時々びっくりさせられるがこれもその一つだろうか。。

「四月の魚」という言葉はフランス菓子に詳しいパティシエの方からきいていた。エープリルフールに魚の形のチョコレートを送ること。映画ではウソと真実のあわいみたいな形で使われていた。

*1:まず思い出したのは「俗物図鑑」。あちらにも大林監督出ておられたことを確認。