昨夜のカレー、明日のパン

夫亡き後、義父と同居、というこの小説のシチュエーションは居心地の悪いものかと思いきや、自分では選択できない肉親でなく、自分で選んだ共同体という感じのすがすがしさ、でもだからといってなれあっているのでなく、リアルな遠慮の概念もあり、形態だけみれば日本の家制度みたいなのだけど、実はちょうどそんなものから自由のとらわれない新しい空気が流れている。その家庭を軸にお隣さん、お隣さんの友人と、つながっている人たちのやっぱり既成の仕事などのありかたの中にいられなかったエピソードが描かれ、こうでなきゃならないという枠をとっぱらってくれるし、またその視点の細やかさにうたれる。
最近はやりの「ゆるふわ」のようなものではなく、もっと筋が通っていてガツンと来る感じがとてもいい。

昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン