少年メリケンサック

とってもキュートな映画だった。はじめはなんだか騒々しいんだけど、どんどんとりこまれる。無理やりどっかに収束させるのでなく、パンク者としての日常を丁寧に綴ったもので、その描き方がとてもよくてわたしは大好きだった。何年か前にみうらじゅん原作、宮藤官九郎脚本、田口トモロヲ監督の「アイデン&ティティー」の公開のとき、意外に淡々としていたりまっすぐだったりして、わらかしてもらおうと思って見に行ったら違う種類の映画だった、っていう気分になったのだけど、今このままの勢いでもう一度「アイデン&ティティー」をみたらもっと理解できると思う。同じ根っこの映画だから。どっちも安っぽい感動ではまとめたくない自伝的ムービーというか。

そして、退屈しないのは、みて楽しめるいろんな要素がつまっているから。佐藤浩市のあの華のある存在感!田口トモロヲの表情!ピエール瀧のとらえどころのないかっこよさ!音楽でいろんな空気が伝わるおもしろさ!「アイデン&ティティ」で主人公をつとめた峯田和伸氏と向井秀徳氏の「守ってあげたい」は、すごい新鮮だったし、動かされた。アニメの使い方もモンティ・パイソンタランティーノ?って感じでとても好き。田辺誠一の思いっきりぶりにも喝采阿部サダヲが背丈を高くしているのか?とか思ってしまった。あと、「パッチギ」で注目していた波岡一喜って俳優さん、この映画でもずっと気になる存在だった。

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