日本映画 隠れた名作 昭和30年代前後

先日息子の引っ越し手伝いの折、西荻窪 忘日舎にて購入。
これは買って本当によかった。小津、黒澤などの巨匠級ではない監督たちの作品を川本三郎氏と日本近現代史と歴史社会学がご専門の筒井清忠氏のお二人が辿っていかれるもの。
ロケ地巡りの好きな川本さんの話で膨らむし、読みやすく、そして、二人のお話が補い合っている感じがとてもいい。派生的に、取り上げられている作品の周辺の映画作家にも関心が持てるようになるし、またごっちゃにならないように名前の出てきた作品の索引も監督名かっこ書きで丁寧に作られていてとてもよい本。
まず読んで楽しく、そのあと手元に置いておいて今後鑑賞したい映画の参考にできる。

何よりうれしかったのが、川本さんが「裸の大将」では小林桂樹が演じたもの*1がよくて、テレビ版の芦屋雁之助のは何だかお説教臭くてとおっしゃってるところ。(p192)その通りだ!テレビ版が有名になってしまってあのイメージがついてしまっているのは良くないよな。

筒井さんが「石中先生行状記」*2第三話を語っておられるところ(p233)も大きく頷く。いわく

成瀬版『石中先生行状記』の第三話は、「意外な三船敏郎」が出てきます。無口でシャイな三船。

私のあの映画の印象と同じ!