俳優になろうか

笠智衆さんが日本経済新聞私の履歴書」に書かれたものをまとめたもの。笠さん、子供の頃予習復習とか大嫌いだったらしく、中学で落第してみたり、ちょっと元気な子と友人で、柔道も得意だったものだからこわがられたり、大学もあんまり勉強したくなくとりあえず無試験のところに行って・・とか、とても意外な一面がたくさん披露されていた。逆にいえば熊本でのびのび育たれたからこそのあの持ち味ともいえるだろうな。
俳優をしていく上で、監督などに覚えてもらったりしなきゃいけないから社交性なども必要なのだけど、九州で男は無口な方がいいという風に育てられたので、なかなかうまい言葉が出てこないところなどもなるほどなあと。長い大部屋時代、一時は転職も考えたこと・・でもその中で役の工夫をすること、地道な努力をし続けることででだんだんに評判になって仕事がはいってくるところ、また大きな仕事が入ってきてからの失敗など、笠さんが話しかけてこられているようで読んでいる間早く続きが読みたくなりずっと楽しい時間を過ごせた。
一緒に仕事をしてこられた監督の素顔、撮影のこぼれ話もとても楽しい。

とりあえずのメモ

  • 「いま*1見てもきっとおもしろい喜劇だろう」と書いておられる吉村公三郎監督の「象を喰った連中」
  • 「野菊の如く君なりき」 少年時代の悲しい初恋を回想する老人役 当時の評判もよかったらしい。twitterで笠さんの話をしたときほめている方がいらしたのでぜひみてみよう。木下監督の段取りのよさの話も心に残る
  • めったに出られない時代劇 大曾根辰保監督の「獄門帳」での牢奉行役 京都の四条の街角に笠さんと左卜全さんの大きな看板が立っていい気分になられたそう

*1:書かれたのは昭和62年