女の座

久しぶりの成瀬映画。久々だったものでビターさに驚く。笠智衆が父を、その後妻を杉村春子、死んだ息子のお嫁さんの高峰秀子・・成瀬流「東京物語」みたいなものも感じる。子どもも元の奥さんとの間、また杉村春子との間にもおり、その妻、さらに孫なども出てきて、人間関係が入り組み、シビアな描写が続くが、戦後の家族のありかたに笠さんの「血を分けた子供が何人もおってもどれもこれも・・自分たちのことばかりで精一杯だ・・」という言葉を受けて杉村春子がいうせりふ「精一杯やっていければそれで結構じゃないですか」というところが成瀬流のような・・
高峰秀子がお姑さんの杉村春子と送っているちゃんとした(自分たちで衣食を整えている)暮らしの描写も丁寧で、みていて飽きない。そして、それぞれの立場を思いやっての抑えた行動、目の演技など、きちんとした仕事を見せてもらった充実感。
三橋達也の軽妙で芸達者な感じも「愛のお荷物」*1に続き味わわせてもらった。

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