バラバラにみてきた日本映画の個々の作品の、日本映画史の中での位置、意味というのがわかりやすく書かれていてとても愉しく読み進んだ。今まで後回しにしていた映画にまた興味を持ったり・・
そうなのかと思ったのは、日本に長い間根付いた弁士文化のこと。
p58
日本映画の得意とするロングショットや長回しへの好みは、もともと弁士が得意の長台詞を語るために準備されたものであるし、感傷的な語り手による結論めいた独白は、弁士の説明の痕跡といえる。
なるほど・・
また、東宝が始めた「製作委員会」方式。TV局と広告会社が中心となり、原作の出版社がそれに絡む。
p241
その結果、広範囲の観客層を掴むために、あらゆるニーズをほどよく満たし、クレームが出ないように細かく調整された作品ばかりが市場を賑わすことになった。
そういうことだったのね・・
参考文献や用語集、さらには作品の索引もつけられとても丁寧なつくり。大学の授業にも使えそう。

- 作者: 四方田犬彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/08/12
- メディア: 新書
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