ライムスター宇多丸の映画カウンセリング

 

以前宇多丸さんのラジオで事前になんの情報も集めず、興味を持っているわけでもなしのまっさらな心で映画を観にいって感想を述べるコーナーを聴いていて私が関心ない映画であってもその話がとても面白く、つくづく「これぞ芸だな」と思っていたのだけど、この本もその話芸が遺憾なく発揮されている。

映画を深く観ているからこその愉しめる文章なんだけど映画は通過点でしかないような、そこから明快で楽しい人生論に入るマクラのような感じで味わった。

 

宇多丸さん、「森田芳光全映画」という本も出されていて、

先日丸善で行われた水道橋博士とのトークイベントを視聴した。第三回だったので、最後期の森田作品について語っておられた。

自分は森田芳光監督の作品、「の・ようなもの」や「家族ゲーム」で出て来た当時は目を見開いて観ていたのに、だんだんに「?」と思うことも多くなってしまった*1のだけどとっても愛情をこめて森田監督のフィルモグラフィーについて語り「椿三十郎」のリメイクの経緯を説明されたりしていて、森田監督見直さなきゃな、そしてこの本も読みたいなという気持ちになるものだった。

 

毎夕6時からの宇多丸さんの「アフターシックスジャンクション」でもだけど、名画座や古典映画へのリスペクトを独特の軽妙な語り口で語っておられ、そのことがとても嬉しいし、これからもラジオや著作に触れていくつもり。

*1:模倣犯」のラストの飛躍しすぎて絶句してしまうような演出や「黒い家」の大竹しのぶが物理的にこわいだけになってしまっている様子、「阿修羅のごとく」の、どうも元あったドラマ版を超えていると思えなかった様子など