さらば、わが愛 覇王別姫

前から見なければ、と思っていたが見て本当によかった。素晴らしい作品。
レスリー・チャンの訃報の時、この映画を観ていたら、どんなにか悲嘆しただろう・・ほんと今頃なんだけど、哀しい想いをかかえつつの芸一筋の、美しい京劇の女形、気品もありぴったりだった。
京劇というものが20世紀中国の激動の歴史の中で立場を変えていき、それに皆が翻弄されるさまがとても美しい場面とともにすごくわかりやすく描かれていて、3時間近い作品だけどみるものの負担にならないし、本当に一気にみさせる力がある。レスリー・チャン演じる蝶衣の部屋の金魚の情景のはかなげでなんときれいなこと。遊郭で生まれた彼、そして、コン・リー演じる遊郭の女菊仙との相方を巡っての関係がまさに宿命の織りなす糸のようで心に残る。グォ・ヨウという俳優さんが演じた、京劇の保護者で運命に翻弄される袁四爺、抑えた色気のようななにかとても惹かれるものがあった。調べてみるとチャン・イーモウの「活きる」*1に出ておられたよう。
途中、男性や女性ということを超えた観音と女形の関係について語るところでは、「變臉(へんめん) この櫂に手をそえて」*2の人観音のシーンを、また、厳しい修業時代はジャッキー・チェンたちの京劇修業時代を描いた映画「七小福」*3を思い出す。少年時代の蝶衣を演じた役者さん(尹治(イン・チー))もとてもよかったなあ。
またコオロギのお相撲賭博の話が出てくるが、「こころの湯」*4でもコオロギのお相撲の場面が印象に残っているなあ。

さらば、わが愛 覇王別姫 [DVD]

さらば、わが愛 覇王別姫 [DVD]