オーディブルで聴いた小説 「うどん陣営の受難」「令和の雑漠なマルスの歌」

オーデイブルでちょこちょこ色んなものを聴いている。メモが必要な内容のものには向いてないかもだが、雨の日の待ち合わせだとか、単調な家事をしながらにはとても向いている。 昨日ちょうど聴き終えたのは津村記久子さんの「うどん陣営の受難」 www.audible…

京都不案内

京都不案内 作者:森 まゆみ 世界思想社 Amazon 谷根千ネットの森まゆみさん、以前仏教大学の文化講座で四条のフランソア喫茶室がテーマになった時講師の一人として招かれておられ*1、京都とも関わりを持っておられるのだなと思ったのだが、京都の気功の先生…

下り坂をそろそろと下る

www.audible.co.jp オーディブル好いていて今日聴き終わったのは平田オリザ氏の「下り坂をそろそろと下る」 途中司馬遼󠄁太郎の「坂の上の雲」からの引用がたくさん出てくるが、なるほどタイトルからして意識していたんだな。 想田和弘氏がオリザ氏に密着した…

ぼくはウーバーで挫折し、山でシカと闘い、水俣で泣いた

www.audible.co.jp 日々の単純家事労働にどうしてもノリきれない自分、景気づけにラジオを聴いていたが、好きなラジオ番組(「SAYONARAシティボーイズ」や「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけれど」等)が軒並みオーディブルに加入すればもっと聴ける…

「文豪、社長になる」、「忠直卿行状記」

文豪、社長になる (文春e-book) 作者:門井 慶喜 文藝春秋 Amazon 菊池寛という人を芥川龍之介、直木三十五、石井桃子、古川緑波など関わりのあった人たちを軸に書いた小説。臨場感の出し方、また取材で集めたエピソードの使い方のタイミングがうまい。 文藝…

口訳 古事記

口訳 古事記 作者:町田康 講談社 Amazon 古事記に出てくる神様の名前は漢字の羅列で暴走族の書く文字や歌舞伎、文楽のタイトルみたいでややこしいのだが、そこはもうさらっとあまり追求せずに読み進んだら、内容自体は生きた大阪弁リズムでとても楽しい。さ…

五月の読了本

最近読んだ本2冊 1.演劇のことば 演劇のことば (岩波現代文庫) 作者:平田 オリザ 岩波書店 Amazon 平田オリザ氏による日本演劇史。 平田氏自身のあまり遠慮のない筆致で読みやすい。 川上音二郎、坪内逍遥、島村抱月、松井須磨子、岸田國士、築地小劇場、…

栗山大膳

「栗山大膳」は、黒田騒動の物語で、森鴎外の小説にもある。ので、「阿部一族」*1を観たあと、森鴎外原作シリーズのつもりで日活の大河内伝次郎の映画を鑑賞。 栗山大膳 大河内傳次郎 Amazon なんかこんなことある?というような展開もありで森鴎外の「栗山…

阿部一族

昨年戦前の前進座の映画「戦国群盗伝」*1を観て面白さを感じて以来前進座の映画をちょこちょこと観ている流れでの「阿部一族」鑑賞。前進座による映画(熊谷久虎監督)と深作監督のTV版と見比べテイストがあまりに違うので森鴎外の原作も読んでみた。 二作と…

時代劇は死なず!京都太秦の職人たち

時代劇は死なず! ―京都太秦の「職人」たち (集英社新書) 作者:春日 太一 集英社 Amazon 春日太一さんの時代劇研究本、テレビ時代劇のウェイトが高いので映画時代劇のことを主に知りたい自分は躊躇もしたのだけど、手にとってみたら東映の明朗時代劇→集団時代…

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった (コルクスタジオ) 作者:岸田奈美 コルク Amazon 岸田奈美さんのこと全然知らなかったのだけど、若き知人が奈美さんにインタビューの仕事をしたことがきっかけでこのnoteの記事を紹介され本も読みたくな…

ミス・サンシャイン

ミス・サンシャイン (文春e-book) 作者:吉田 修一 文藝春秋 Amazon 「横道世之介」の続編から始まって吉田修一熱が高まった今年。「国宝」を読んで吉田氏の歌舞伎ひいては芸能への熱を感じ、その資質を活かした本をさらに読みたいと探して、往年の映画女優を…

まっとうな人生

まっとうな人生 作者:絲山秋子 河出書房新社 Amazon 2007年にえらく楽しんだ精神病院から脱走する男女二人コンビ(非恋愛関係)の物語「逃亡くそたわけ」*1の続編。 その後それぞれ伴侶を得て、偶然出会い家族ぐるみでつきあったりする短い時間の話だけど、…

国宝 下巻 花道編

国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫) 作者:吉田 修一 朝日新聞出版 Amazon 有吉佐和子や宮尾登美子、山崎豊子みたいなモデルありの昭和の作品を読んでいるような面白さ。残酷さのエッセンスがちりばめられ、先に先にと夢中で話を読み進めたくなる。 主人公の十代か…

国宝 上巻

国宝上青春篇 (朝日文庫) 作者:吉田 修一 朝日新聞出版 Amazon 歌舞伎界を舞台に描く「ガラスの仮面」*1的新聞小説。面白い。時は昭和の半ば、もはや戦後ではない日本。長崎の侠客の息子が関西歌舞伎の大名跡の部屋子となり一つの到達点に恵まれるもののみま…

おかえり横道世之介

おかえり横道世之介 (中公文庫) 作者:吉田修一 中央公論新社 Amazon 単行本のときは「続横道世之介」だったんだな。こっちのタイトルのほうがずっといい。 「横道世之介」は原作*1も映画*2も出来がすごく良くそこで一つの大きな完結をみせているから続編って…

ベルカ、吠えないのか

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫) 作者:古川 日出男 文藝春秋 Amazon この小説、2005年の直木賞候補になった故か2006年に読んでいるのだが軍用犬を通して世界の近、現代史を描く構想が当時の自分には難しく読了するだけでやっとという感じだった。 今年に入…

余命一年、男をかう

吉川トリコさん、ライムスター宇多丸の番組で女子アナウンサーと女芸人が主人公の「夢で逢えたら」が奨められていて読んでみたのが出会い。 夢で逢えたら (文春文庫) 作者:吉川 トリコ 文藝春秋 Amazon 女子アナウンサーや女芸人に読者や小説の中の人々が勝…

物語を売る小さな本屋の物語

「藤森照信のクラシック映画館」という本の発売記念イベントが京都の徳正寺というお寺で行われたことがある。 藤森照信のクラシック映画館 作者:藤森 照信 青幻舎 Amazon 矩庵という藤森さん設計のツリーハウスのようなお茶室も見せていただいたりしてとても…

おらおらでひとりいぐも

おらおらでひとりいぐも (河出文庫) 作者:若竹千佐子 河出書房新社 Amazon この作品が芥川賞を獲った時、家庭生活をまじめに営んできたものの一人暮らしになったら大きな声では言い難いが開放感も覚えてしまった老婦人の話という紹介をきいて妙に心惹かれる…

悪童日記

悪童日記 作者:アゴタ クリストフ 早川書房 Amazon 映画*1がとても良かったこの作品、信頼できる方が原作も是非とおっしゃてたので読んでみた。海外文学から遠ざかって久しく東欧圏の話ともなれば読みにくいのではないかと手に取るのが遅れたが、まるっきり…

ジュリーの世界

ジュリーの世界 作者:増山 実 ポプラ社 Amazon 70年代後半から80年代前半にかけて京都で学生時代を過ごした著者が当時の京都を四条河原町付近の有名なホームレス「河原町のジュリー」をキーに描いたもの。著者のあとがきによると、はじめ、「河原町のジ…

山崎ナオコーラさん

「人のセックスを笑うな」*1原作者の山崎ナオコーラさん、「人のセックス~」は映画だけ観たことがあったけれど、松山ケンイチが自由すぎる永作博美に振り回されるお話、という印象で終わっていた。 多分共同通信からの全国の地方紙への配信かなと思うのだけ…

ミシマ社の本 

前から ミシマ社という会社のことを仄聞し mishimasha.com 魂のこもったおもしろそうな出版社だなと好感を持っていた。 今年はミシマ社の本を二冊読む機会があった。 最近読んだのがいとうせいこう氏の「ど忘れ書道」 ど忘れ書道 作者:いとうせいこう ミシマ…

大阪

大阪 作者:岸 政彦,柴崎 友香 河出書房新社 Amazon 社会学者の岸政彦さんと作家の柴崎友香さんが交互に大阪テーマでエッセイを書かれているもの。刊行された時朝日新聞に対談が載っていてそこでも語られているのだが、大阪の通天閣だとかこてこてだとかのイ…

コラムニストになりたかった

コラムニストになりたかった 作者:翠, 中野 発売日: 2020/11/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 「あのころ、早稲田で」*1の続編ともいえるような69年から2010年代まで中野翠さんの軌跡を綴ったもの。自分も生きていた時代というのもあるのかさらに読みや…

いいかげん、馬鹿  あのころ、早稲田で

いいかげん、馬鹿 作者:中野 翠 発売日: 2020/12/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) あのころ、早稲田で (文春文庫) 作者:翠, 中野 発売日: 2020/03/10 メディア: 文庫 中野翠さんの本を二冊。「いい加減、馬鹿」は、毎年年末に出るサンデー毎日のコラム…

どん底

日仏の「どん底」映画を観比べ*1、ルノワール版は原作を大胆に変えたといわれているけれど原作はどうだったのか気になって読んでみた。 どん底 (ロシア名作ライブラリー) 作者:ゴーリキー 発売日: 2019/10/04 メディア: 新書 読書力がすっかり落ちているので…

橋本治さん

橋本治氏の「完本チャンバラ時代劇講座」。 完本チャンバラ時代劇講座 作者:橋本 治 メディア: 単行本 日本の精神史みたいな内容で登山のように何か月もかけて読み終えた。読んでいる時は、なんでこんなにこねくりまわさなきゃならないのか・・と思う時もあ…

テレビの嘘を見破る

テレビの嘘を見破る (新潮新書) 作者:今野 勉 発売日: 2004/10/01 メディア: 新書 テレビのドキュメンタリー番組の作り方、状況をわかってもらうために再現的に撮ることのどこまでが許容範囲かということをドキュメンタリー番組を巡って起きた事件を追いなが…