哥(うた)

哥(うた) [Blu-ray] キングレコード Amazon 「無常」「曼陀羅」に続く実相寺昭雄監督の三部作とのこと。以前「無常」を観た時、観念的で破壊的な田村亮氏の行動や前衛的な音響についていけなくちょっとした苦行的鑑賞になってしまったのだけどこちらは自分…

銀河

銀河 ポール・フランクール Amazon ふや町映画タウンのおすすめ☆☆☆(かなりおすすめ) サン・ティアゴという大巡礼地を目指す初老と若者の巡礼者二人の時空を超えたロードムービー。ルイス・ブニュエル監督。 以前観てかなり好きだったコリーヌ・セローの「サ…

三つ数えろ

三つ数えろ [Blu-ray] ハンフリー・ボガート Amazon 若い頃に「マルタの鷹」を観てピンとこなく、どうもハードボイルド苦手かもと思ったのだが、そのあと「動く標的」*1やら「ロング・グッドバイ」*2やらしょぼくれ気味はイケる、と認識を新たに。ふや町映画…

果てなき船路

果てなき船路(字幕版) ジョン・ウェイン Amazon ふや町映画タウンのおすすめで観てみた。 船の群像劇、若きジョン・ウェインもほんの乗組員の一員という感じで回っていく。 船はこどもの時の学校のようにその中に入ってしまったら大して気の合わないものと…

「魔女伝説 ヴィー」、「石の花」

イタリアの「血塗られた墓標」*1と原作は同じゴーゴリの「ヴィー」から作られたソ連版「魔女伝説 ヴィー」 www.allcinema.net (↑こちらはビデオになる前のタイトル) ただ対比のつもりの鑑賞だったのに、その素朴さ、なんともいえない画面のかわいらしさに…

サスペリア part2

サスペリアPART2 (完全版)(字幕版) デヴィッド・ヘミングス Amazon ダリオ・アルジェント監督 1977年作品 「処刑男爵」*1に出てきた気になる女の子ニコレッタ・エルミがまた登場ということや、とにかくファンが多く、よく視聴しているyoutubeの「暗黒迷画座…

セルロイド・クローゼット

セルロイド・クローゼット [DVD] ウーピー・ゴールドバーグ Amazon 先日ウィリアム・ワイラー監督の「この三人」*1とリメイク「噂の二人」を観比べて、原作にある同性愛の要素が前者では形を変えざるを得なくなっていたのを確認。ちゃんと描きたくてもう一度…

「血塗られた墓標」、「処刑男爵」

マリオ・バーヴァ監督作品を二本。 まずは、ふや町映画タウンのおすすめに挙がっていた「血塗られた墓標」。 ゴーゴリ原作のイタリアンゴシックホラー。1960年作。 血ぬられた墓標 [Blu-ray] バーバラ・スティール Amazon 火あぶりになった魔女の復讐譚から…

地獄への逆襲

「地獄への道」*1(ヘンリー・キング監督)の続編。今回はフリッツ・ラング監督。こちらだけ放映されたりしている時もあるように思うが「地獄への道」を観てから観た方が絶対いい。前作をすごく踏まえて作られていて登場人物も被りまくっているから。 「地獄へ…

地獄への道

地獄への道(字幕版) タイロン・パワー Amazon ふや町映画タウンのおすすめ作品だが、タイトルに凄惨さが漂っていて観るのが後回しになっていた。見始めたら、冒頭から血まみれ荒くれとかでなく、鉄道会社の買い叩きにあっている農家の現場から。おろおろして…

積木の箱

積木の箱 [DVD] 若尾文子 Amazon 「女の小箱より 『夫が見た』」*1がすごくよかったもので増村監督をもう一作。 三浦綾子原作だけど、多分原作は風味が違うと思う。映画は露悪的で主人公男子の思春期のこじらせ具合が凄い。こじらせもするよというような話だ…

五月の読了本

最近読んだ本2冊 1.演劇のことば 演劇のことば (岩波現代文庫) 作者:平田 オリザ 岩波書店 Amazon 平田オリザ氏による日本演劇史。 平田氏自身のあまり遠慮のない筆致で読みやすい。 川上音二郎、坪内逍遥、島村抱月、松井須磨子、岸田國士、築地小劇場、…

女の小箱より 「夫が見た」

女の小箱より「夫が見た」 [DVD] 若尾文子 Amazon 久しぶりに観た増村保造監督作品。増村作品、どきついなとかやりすぎだなとか思うこともあったが、これは一気に惹き込まれた。話は今どきないような欲望に忠実な話だが、構図も凝ってて美しく、堪能。株の買…

処女の泉、鮮血の美学

ベルイマンの「処女の泉」(60)とそれに影響されたというウェス・クレイブンの「鮮血の美学」(72)を鑑賞。 まずはベルイマン。 処女の泉 【2K修復版】 DVD [DVD] マックス・フォン・シドー Amazon 観ていてサラ・ムーンの「赤ずきん」*1の物語を観たときの…

インファナル・アフェア 3部作

まず 第一作目 インファナル・アフェア 無間道(字幕版) アンディ・ラウ Amazon はじめ説明的なシーンがえらくコンパクトにまとめられスコセッシによるリメイク作「ディパーテッド」*1で筋を知っている(警察側とマフィア側それぞれのスパイ工作員)からす…

望郷

フランスのクラシック映画、勝手に敷居を高くしていたのだけど見始めたら見づらいってこともない、なんかいいなと思い始めている。 本日は「望郷」を。 望郷(字幕版) ジャン・ギャバン Amazon 有名すぎて避けて通ってきたが、デュヴィヴィエ監督の「旅路の…

旅路の果て

旅路の果て ジュリアン・デュヴィヴィエ Blu-ray ヴィクトル・フランサン Amazon 前から名前だけはきいていたが。。とても堪能した。 役者ばかりの老人ホームのはなし、まさに倉本聡のドラマ「やすらぎの郷」のオリジナルといっていいのではないだろうか? …

人斬り

人斬り Blu-ray 勝新太郎 Amazon この映画での勝新太郎演じる人斬り以蔵は、他でみるような怜悧な感じでなく犬っころのよう。仲代演じる武市半平太につき従い、挙句にあたかも太宰治が「駆け込み訴え」で描いた愛憎劇のような境地に。 時々勝新太郎について…

時代劇が前衛だった

時代劇が前衛だった-牧野省三、衣笠貞之助、伊藤大輔、伊丹万作、山中貞雄 作者:古賀重樹 淡交社 Amazon 国立映画アーカイブや京都府立文化博物館の所蔵している画像資料多し。わかりやすい。 日本映画の青春記。それぞれに面白いけれど、一番興味深かったの…

逢びき

逢びき [VHS] 東北新社 Amazon 勝手に想像していた悲恋物語に観客が付き合わされるという感じが全くなく、実に面白かった。 駅の列車や待合喫茶の軽いやりとりから始まる冒頭、何度も舞台になる待合喫茶のマダムの様子が丁寧なのも、何やら深い想いがありそ…

ブローニュの森の貴婦人たち

1944年ロベール・ブレッソン監督。 18世紀フランスの哲学者ドゥニ・ディドロによる小説「運命論者ジャックとその主人」が原作。ブレッソンが脚色し、ジャン・コクトーがセリフ監修とのこと。 男が女のいうことを額面通りに解釈する悲劇が面白いドラマ仕…

パリ、夜は眠らない。

パリの密着24時間ものみたいなものを想像していたら、NYハーレムの黒人やラテン系のゲイたちによる「ボール」というファンションショー的コンテストのドキュメンタリー。 ↓の解説に書いてあるが、「パリ」というのは彼らのコミュニティのことらしい。 www.…

アダマン号に乗って

longride.jp 聾唖学校の話をまじめくさりすぎた感じでなく描き、新しい見地を提供してくれた「音のない世界で」*1や閉じ込め型ではない精神病院の様子を描いた「すべての些細な事柄」*2などニコラ・フィリベール監督の作品は惹きつけられる魅力がある。 今回…

聖母観音大菩薩

聖母観音大菩薩 松田英子 Amazon 1977年若松孝二監督。60年代の若松監督のものに比べたら自分には描かれているものがくっきりしていて観やすいように思ったら社会派 佐々木守脚本だった。 小浜の若狭彦神社、若狭の海岸に立つ原発施設が何度も映る。人魚の肉…

こんな映画が、

行きつけのvhs専門レンタル店ふや町映画タウンが20周年ということで数少ない(というのも随分婉曲表現)常連さんとふや町映画タウンで出会った作品の数々をtwitterで挙げていってる。 ラース・フォン・トリアーの話題になって、ふや町映画タウンのおすすめリ…

「生理のおじさんとその娘」など

TV

2月の末のことだけど、京都新聞に酒井順子さんの「異次元の少子化対策」への意見が載っていた。全国に配信されている記事だったらしく静岡新聞社が全文公開しているのでリンクを貼る。 www.at-s.com 本当に酒井さんのおっしゃる通り。ずいぶん前になるが「フ…

F・W・ムルナウ

twitterでお年寄り映画のオススメとして「最後の人」が挙げられていて 最後の人 [DVD] エミール・ヤニングス Amazon お年寄り映画に目のない私、twitterに投稿されたおすすめをみて、観てみることにした。 すっと重々しい映画だと思い込んでいたのだけど、す…

実録忠臣蔵(1928)

「下鴨映画祭」*1で池田富保監督の「忠臣蔵」(1926)を弁士掛け合いで観て戦前の「忠臣蔵」も難解ではないなという感触を持ち、牧野省三監督のこちらの映画も観てみた。 よく拝見している忠臣蔵のファンサイト「くすや」での紹介↓ kusuya.net マツダ映…

ケイコ目を澄ませて

happinet-phantom.com 前から評判はきいていたこの作品、もうすぐアマプラに入るらしいが、「音が大切なので、劇場の方が良いと思ってしまう。」というtweetを拝見し、あわてて劇場公開を探したら近くの出町座でロングラン上映中。バリアフリー日本語字幕付…

雪之丞変化

先日の下賀茂映画祭*1、早稲田大学演劇博物館副館長の児玉氏の話に長谷川一夫が二度演じた「雪之丞変化」はリトマス紙というお話があり63年の市川崑版を許容する人は歌舞伎に慣れている方(歌舞伎は太った俳優の女形などしょっちゅうだからぽっちゃりしたお…