積木の箱

 

「女の小箱より 『夫が見た』」*1がすごくよかったもので増村監督をもう一作。

三浦綾子原作だけど、多分原作は風味が違うと思う。映画は露悪的で主人公男子の思春期のこじらせ具合が凄い。こじらせもするよというような話だが。

三浦綾子だなと思ったのは舞台が旭川なところ。

映す角度構図などはすばらしいし60年代モダンを楽しめてしまう。

お屋敷に住む人間たちのわかりやすい腐敗(すべての元凶は怪物じみた性エネルギーを持つ父親)は降旗監督「日本の黒幕」*2にも通じる昭和風味だけどこっちのほうがまだシャープだな。あちらはモデルを推測しての面白さに尽きていた。

松尾嘉代が悪女として大活躍。肢体は美しい。

若尾文子はおさえにまわり過去のある清楚な学校前のパン屋のおばさん役。主人公の少年や緒形拳演じる先生に思いを寄せられるのが自然。