今泉力哉監督の評判は以前からきいていて作品を観なきゃと思っていたところ、やはり夏に亡くなられ自分の周りの人の悲しみが甚大な三浦春馬氏主演のこの映画がwowowで放映されていて観てみた。
伊坂幸太郎原作。いくつか触れた伊坂氏の作品*1世界の空気をとても感じた。主人公が手探り的に人との距離を測っているような、不器用でおずおずした感じ?そして仙台の空気。三浦氏が市内を疾走するシーンがあるが、見覚えのある風景が出てきて嬉しい。また東北に縁の深いサンドイッチマンの出演も東北映画要素を深めている。
三浦氏が演じる主人公が出会う女性を演じていたのが多部未華子さんだけど、出会った時の輝き、そして時間を経たあとの彼女の雰囲気をとてもうまく演じ分けられていた。
三浦氏演じる主人公の気を遣い過ぎての空回りが愛おしい。また構成のうまさで主人公と重ねてしまうボクサーの青年、これがまた不器用世界の大立者って感じでとても良い。出てくる人たちのテーマがまるで旋律が重なり合うように色合いをミックスさせていく構成はタイトル負けしていない。中に出て来た台詞など*2観た後でもじんわり思い出す作品。
*1: アヒルと鴨のコインロッカー - 日常整理日誌、ゴールデンスランバー - 日常整理日誌
*2:「社会の歯車」という言葉に対する言及などよかった