宮藤官九郎がこの作品をリメイクしたディズニープラスの配信作品「季節のない街」がとても良くてオリジナルも観てみた。
結構一緒のところもあるのだけど宮藤官九郎は上手に仕上げたなあとつくづく感心した。
「季節のない街」のコメント欄*1で幼い時にこの映画に連れて行かれしばらくトラウマになった話を書いていただいたりしたが、わかる。映像きついもの。これはトラウマになる。ほんとこの話を笑えてしみじみする物語に仕上げた宮藤氏のすごい才能を痛感した。
荒川良々たちが演じていた酔っ払い二人を井川比佐志と田中邦衛がやっていたり、ドランクドラゴンの塚地がしていた役を三波伸介がしていたり、このへんは話もきつくないし、新旧両方いいなあ懐かしいなあと笑いながらみていたのだが。。酒屋の店員は新しいほうの渡辺大知が断然いい。ほんわかして不器用な感じが素晴らしかった。主人公の設定は黒澤版は厳しすぎる。新しい方で又吉がしていたホームレスは映画では三谷昇。こちらは鬼気迫り方がハンパなく名演。くまん蜂の吉という脛に傷のありそうな役、旧いほうでのジェリー藤尾の方が存在感、傾聴したくなる雰囲気が強かった。飲み屋の親父もやはり旧の方が三井弘次でさりげない存在感が嬉しい。そうそう藤原釜足さんが、新しい方で仲野太賀が演じていた役のある部分を担っており、驚き。
街のご隠居的役回りたんばさんは、新しい方はベンガル、旧い方は渡辺篤という俳優さん。ベンガルも良かったが、私は渡辺さんの佇まいにとても惹かれた。他の作品も観てみたい。
配役の違いはいろいろ楽しめたが、トータルに考えると、宮藤官九郎版を大いに推したくなった。「どん底」*2でも自分は厳しい黒澤版はより救いのあるルノワール版が好きだったからなあ。