東宝の次郎長三国志、長いもので、シリーズの中ではこちらが評判いいという石松の運命の代参道中を描いた第八部をとりあえず観てみた。
上に出てきている画像はカラーだが、モノクロ作品。
森繁演じる石松が主人公のこの作品、初心な石松のほのかな思い人、みたいな話が中心になっていて威勢がいいというより叙情的である。女のいる場所に入っていく時の観ているものがその場に同行してるかのようなカメラの臨場感、特別のものを感じた。飯村正カメラマン。
クライマックスシーンのお面の使い方!無名集団の不気味さ、そして滑稽みが怖さを増幅させる。この感じ同じくマキノ監督の「阿波の踊り子」*1でも味わったなあ。四国に着いての人形芝居の点描などもさりげなく良い。
四国で親分をつとめる志村喬の見せ場たくさん。切ったはったでなくて、身体を動かしてお金を稼ごうという親分。晩年の菅原文太も思い出す。予想もしていなかった展開。
加東大介が演じていた豚松の葬儀から始まるこの話、日活の「次郎長遊侠伝 天城鴉」*2で千秋実が演じていた役だ。次郎長ものいろいろみていくと、歌舞伎みたいに同じ登場人物がちょっとずつ形を変えて出てくる面白さがある。