阿波の踊り子(剣雲 鳴門しぶき)

昭和16年 マキノ正博監督作品。
仇討ちを阿波おどりにまぎれて行うはなしだけど、確かにトランス状態の群衆、そして人によっては仮面など、なにが起こってもおかしくない状況が、なにか陽気さの影にあって、参考になった映画はあるらしいが*1、よい目のつけどころだなあと思った。
山根貞男氏の解説によるとやはりマキノ監督の「弥太郎笠」でも村祭りと躍りとお面が印象深く描かれ、それに合わせて闘いがくりひろげられるという。
娘っぽい風情の高峰秀子の陽気にふるまったあとのさびしそうな表情などがすばらしい。
人形遣いが出てくるのもみていてたのしいし、人形遣いを含むでこぼこ三人組みたいな連中も面白い。

*1:1921年のフランス映画「三仮面」