なんといってもよかったのは北原三枝の女の馬子。すごくかわいらしくて、中性的な妖精のような魅力があり、人気のほどがよくわかる。
森繁久弥の石松、森繁のアクションシーンというのをあまりみたことがないのだけど、なかなかよかった。
敵役の黒駒勝蔵って、三谷幸喜氏のドラマ「竜馬におまかせ! 」で、相島一之さんがやっていたなあ・・ついその流れでとことんは憎み切れなかったりする。
2022年8月15日追記
この作品の続編 「次郎長遊侠伝・天城鴉」を鑑賞。
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前編で野性的な魅力を発揮していた北原三枝が別人で登場。(「悪名」の田宮二郎みたいに魅力ある人を別人で復活させる技)今度は割合しっとりした役で、私は前編の彼女の方が好きだった。
前作を観た時よりは次郎長ものたくさんみてきたので、複合的な愉しみはある。「日本映画傑作全集」同梱の山根貞男さんの解説にもあるが、次郎長ものできまって敵の悪玉として登場する武居の安五郎(吃安)が、
はじめこそ次郎長一家の敵とみなされているものの、ラスト、次郎長たちと心意気を通わせ会う男として描かれる。こういう固定イメージの一変は、同じパターンの時代劇を見つづけてきたファンにとって素敵な贈り物である。
確かに、この展開は面白い。安五郎と石松どちらも吃音もちということで、それがこの物語のキーになっている。取り調べも早口言葉をいわせて、吃音の安五郎をつかまえようとしたりして、お役人役の小林重四郎の空気もどこかとぼけたところがあり、悪くはなかったが、今観ると大胆なネタにもみえたり。吃音をネタにした話、歌舞伎の「傾城反魂香」なんかでも出てくるけれど、どこまでOKなのかわからない・・みたいな気分になったりする。(自分なりの基準がちゃんとないので)
「次郎長三国志」に限りなく近づいてきたところで、続篇が作られなかったのが残念。
— 佐藤利明(娯楽映画研究家) (@toshiakis) 2021年3月19日
森繁久彌さんの石松の鮮やかな殺陣は「海道一の暴れん坊」以来! 久々のわっしょい!わっしょい!も嬉しや。 pic.twitter.com/L0VCOoFRek
「次郎長三国志」(1952)とのつながりが。で、「三国志」の中で評判のいい石松の代参道中の第八部を観始めたら確かに森繫の石松。確かにこの映画の流れとつながっている。
森繫の立ち回りを前回も今回も珍しく感じたけれど、「三国志」からちゃんと観ている人には珍しいものではないのだろうな。
前編の「秋葉の火祭り」はふや町映画タウンのおすすめになっている。