ふや町映画タウンのおすすめ作品だが、タイトルに凄惨さが漂っていて観るのが後回しになっていた。見始めたら、冒頭から血まみれ荒くれとかでなく、鉄道会社の買い叩きにあっている農家の現場から。おろおろしている何も知らない農民の姿はとっつきやすく、それに抵抗するジェシー・ジェイムズがすっと観る者の心の中に入ってくる。
ジェシー・ジェイムズという人物の名前だけはきいたことがあったが、その生涯の大筋はそのままに観ている者に自然に入ってくるように脚本が作られていてうまいと思う。
ヘンリー・キング監督、「拳銃王」*1もタイトルからは跳躍した撃ちまくることを是としないストーリーですごく好感が持てたし面白かった。
ジェシーは19世紀の人だが、私の頭の中では鉄道網を張り巡らすために採ったであろう鉄道会社の荒っぽいやり方が20世紀、無賃乗車をして流れていくホーボーの発生にもつながったりしているように感じた。
ジェシーをタイロン・パワー、ジェシーの兄、フランクをヘンリー・フォンダが演じてるが、ジェシーが途中ヤケを起こしたりするのに対し、フランクは常に余裕があってなにか信頼したくなる空気を漂わせており、彼を主人公に作られたフリッツ・ラングの「地獄への逆襲」を観たい気持ちにさせられる。
タイロン・パワーも純な魅力のある冒頭から変容していく中盤、そして終盤とうまい演じ分け。時間経過をだらだら描いていかないところもいい。
ランドルフ・スコットが保安官役。優等生的でジェシーたちとはエッジが違う感じが良く出ている。
ジェシーの妻のおじに当たるヘンリー・ハル演じる町の新聞屋の適当さが楽しく良きアクセントに。