銀河

 

銀河

銀河

  • ポール・フランクール
Amazon

ふや町映画タウンのおすすめ☆☆☆(かなりおすすめ)

サン・ティアゴという大巡礼地を目指す初老と若者の巡礼者二人の時空を超えたロードムービールイス・ブニュエル監督。

以前観てかなり好きだったコリーヌ・セローの「サン・ジャックへの道*1もサン・ティアゴ巡礼の話だったようだ。*2

「銀河」では道すがら、カトリックの考え方とそこに異を唱えるものを異端としてきた歴史がキリストやマリアまで登場させて綴られる。ブニュエル流のユーモアで語られた冗長なところのない優れた作品なので、そこで語られていることを深掘りしなくても楽しめるようになっているけれど、カトリック教育を長い間受けた自分には「信仰」という行為とそれを執り行っている組織の差を至極まともにあくまで面白く描いているなあと感心。マリア信仰など否定するものの前にあらわれる秘跡、盲人とキリストの美しい邂逅しかし皮肉なオチつきなど、すべてを疑ってかかれ、しかし流されるのもアリだし、自分の結論も疑えという目配せを感じた。

異端を激しく断罪する姿が幾重にも皮肉なタッチで描かれ、しかもラストにはすべて史実やカトリックの記録に従って作ったという旨が流れ、ますます面白いのだが、堂々と語るものには妙な説得力と神々しさがあるというのも全編通して感じる。聖人の苦行エピソードなど常々自分には違う方向に行ってるんじゃないの?と思ったりしているのだけど、それをあくまでも荘厳タッチで描いてみせたりしてブニュエル凄いな、面白いなとなった。