フランチェスコ

「ブラザー・サン・シスター・ムーン」は確かカトリックの中学に通っている時にみたのだけど、同じアッシジのフランチェスコを描いたものでもずいぶん印象が違った。(みている自分の年齢の差も大きく、その影響も否めないが。。)
神の声をきいて、恵まれた日々にこうではない、という思いを抱き、私財を投げ打って福音書に書かれた通りの生活を守って生きてみる、と書くだけなら簡単だけど、それまでの日常を捨てることへの周りの抵抗(それが家族の愛情からだったり)またフランチェスコの考え方に共鳴するものが生まれてからも、それが集団となってしまったときに、知で運営しようとするものとの隔たりなど、自分が信じたことを実践しようとするものの進む道の厳しさが強調され、また異端とみなされないために、法王庁に届け出た方がいいとアドバイスする司教の存在などかなり現実的な視点で描かれたフランチェスコ伝だと思った。(フランチェスコ自身は「現実的」なんて生き方とは程遠い人だけど。)あとでwikipediaのフランチェスコの項を読んでいると、映画が史実を追って丁寧に作られている印象を持つ。また70年代にヒッピームーブメントの中で「アッシジのフランチェスコに帰れ」が標榜されたとのことで、「ブラザー・サン・シスター・ムーン」にはそういう時代の空気もあったようにも思った。(「ブラザー・サン・シスター・ムーン」の解説を読んでいると、アレック・ギネス教皇役をやっていたらしく、また「フランチェスコ」でもとても心に残った友人ベルナルドもちゃんと登場するらしくあちらも再見したくなっている。)
ヘレナ・ボナム・カーターの真摯で美しい表情が素晴らしく、フランチェスコと共に修道生活をしている姿につまらない勘繰りを寄せ付けない。
ミッキー・ローク、「ナインハーフ」ではなんか女たらしみたいなイメージだったり、「バッファロー66」ではぼてっとした敵役という感じだったけれど、どこかに愛嬌があって、それが「ナインハーフ」のような映画にもある種の説得力を持たせていたように思うし、「レスラー」なんかではもう魅力たっぷりだった。この映画のフランチェスコでも、途中ちょっと体がしっかりしすぎている感じはあったもののみる人を惹きつける魅力は十分だった。


フランチェスコ(字幕スーパー版) [VHS]

フランチェスコ(字幕スーパー版) [VHS]

  • 発売日: 1991/04/12
  • メディア: VHS