「魔女伝説 ヴィー」、「石の花」

イタリアの「血塗られた墓標」*1と原作は同じゴーゴリの「ヴィー」から作られたソ連版「魔女伝説 ヴィー」

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(↑こちらはビデオになる前のタイトル)

ただ対比のつもりの鑑賞だったのに、その素朴さ、なんともいえない画面のかわいらしさにやられた。魔女に取り憑かれた女の子の透明感のあるかわいらしさ、出てくる魔女や妖怪の類の造形の面白さ。

特撮監督が有名な「石の花」のアレクサンドル・プトゥシコ監督だと知り、いつかは観たいと思っていた「石の花」も鑑賞。 

 

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第二次世界大戦後の人々の心に灯をともした旧ソ連初のカラー作品というようなことが書かれていたが古い絵本みたいな色合いがとても良く、「ヴィー」と同じような素朴な魅力。まじめな石工が魅入ってしまう「石の花」の造形もチェコアニメに通じるような旧東側国家の美があり魅了された。

ストーリーも民話的。石の美を見極め、そこから素晴らしい作品を生み出す若き石工の弟子と恋人の物語。若き石工の、美やおのれの仕事に取り憑かれたものの様はとても身近。冒頭から美に夢中で雑務でやらかしてしまうところなどこの人をよく表している。一方恋人は素朴で出てきたときから「木綿のハンカチーフ」の音楽が似合いすぎてどきどきと拝見。彼女の聡明さ本当の生きる力こそ称されるべきだ。

「石の花」を所有するのは美の象徴と思われるような石の女王。「雪の女王」や「リボンの騎士」のクールランドの女王的な空気。手ごわさみなぎり、固唾をのんでストーリーの行く末を見守った。